奈良県北葛城郡王寺町において、豊かな自然環境と地域の食文化を融合させた新たな森林商業複合施設「TOUP(トープ)」がグランドオープンした。本プロジェクトは、都市近郊に位置する約50ヘクタールにおよぶ里山「陽楽の森」の利活用と環境保全を目的とし、持続可能な建築と地域産業の活性化を目指して整備されたものである。
吉野材をふんだんに活用した、環境配慮型の木造ZEB建築
多様なニーズに応える4つの飲食業態が集約
里山と都市を結び、日常的な賑わいを生み出す拠点へ
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本施設の中心となる飲食棟は、奈良県が誇る吉野地域の木材を構造材や内装に多用した木造2階建て(延床面積 約481平方メートル)の建物である。設計は伊藤立平建築設計事務所が担当し、地元の谷林業株式会社がZEBオーナーを務める。
同建物は、優れた断熱性能と高効率な設備システムの導入により、一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下に抑える『ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)』認証を取得している。環境負荷の低減と、吉野材ならではの温かみのある空間造りが両立されており、地域資源である木材の新たな可能性を示す建築モデルとして注目を集めている。
施設内には、それぞれの目的や利用シーンに対応する4つの特色ある飲食店舗が集約された。運営は株式会社青春が手掛ける。
施設の核となる「食堂喫茶 ナナツモリ」は、近隣の上牧町で長年親しまれてきた店舗を移転・拡充したものである。地元食材や季節の野菜を豊富に取り入れたプレート料理やカレーなどを提供し、地域住民や観光客が集う「食堂」としての機能を新たに担う。
このほか、日常的な短時間利用に対応する「MÖLLER COFFEE」では、高品質なスペシャルティコーヒーや焼き菓子を提供。さらに、店内仕込みのクラフトジェラートを揃える「森のジェラート mocca」や、国産小麦を使用した多様なパンを販売する「パン屋 霧とマッチ」が並び、多様な来訪動機を創出している。
「TOUP」は、単なる商業施設にとどまらず、飲食、建築、そして森林体験や環境保全活動を一体化させた持続可能なまちづくりの基盤として位置づけられている。都市近郊に残された里山へ日常的に人々がアクセスできる仕組みを整えることで、地域の賑わい創出と環境意識の向上に寄与することが期待されている。
自然との共生、地域産業の推進、そして地域コミュニティの創出に向けた新たな拠点として、「TOUP」の今後の展開に高い関心が寄せられている。
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