集合住宅(マンション・共同住宅)のZEH化を進めるうえで、ZEH-M補助金は初期投資の圧縮に有効な制度です。
ただし、実務では「補助金があるか」よりも、「自社案件がどの階数区分に該当するか」「求められるZEH-M水準を満たせるか」「BELS取得と申請スケジュールをどう整合させるか」が成否を分けます。
特に集合住宅は、住戸ごとの外皮性能計算、共用部を含む一次エネルギー消費量計算、住棟としてのBELS評価取得など、戸建ZEHより検討・申請の負荷が大きくなりやすいのが特徴です。
そのため、補助額だけを見て判断するのではなく、要件整理・BELS取得・交付申請・着工時期までを一体で設計する視点が欠かせません。
本記事では、ZEH-Mおよびその補助金制度の最新情報を整理したうえで、計算業務やBELS対応を外部パートナーに適切に委託し、本来の設計・進行業務に集中するための実践的な進め方を解説します。
第1章 ZEH-Mとは何か-定義と4種類の性能区分
1-1 ZEH-M(ゼッチ・マンション)の基本定義
ZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)とは、集合住宅において、断熱性能の強化と高効率設備の導入により、住戸と共用部を含めた一次エネルギー消費量を削減し、さらに再生可能エネルギーの導入によって年間の一次エネルギー消費量収支の改善を目指す考え方です。
戸建ZEHとの大きな違いは、評価の中心が「住棟全体」にある点です。集合住宅では、各住戸の性能だけでなく、廊下、階段、エレベーター、共用照明などの共用部も含めて評価されるため、計算対象が広く、実務負荷も大きくなります。
また、ZEH-Mは単に省エネ設備を入れればよい制度ではなく、外皮性能、一次エネルギー消費量削減率、再生可能エネルギーの扱いなどを、所定の基準に沿って整理し、BELS評価書などで第三者的に示すことが重要です。
1-2 ZEH-Mファミリーの4段階
| 区分 | 省エネ要件(再エネ除く) | 再エネ込み一次エネ削減率 | 主な対象 |
| ZEH-M(最上位) | 20%以上削減(BEI≦0.80) | 100%以上削減(収支ゼロ以下) | 低層〜中層(屋上に再エネ設置可能な規模) |
| Nearly ZEH-M | 20%以上削減(BEI≦0.80) | 75%以上削減 | 再エネ設置量が限られる中層建物 |
| ZEH-M Ready | 20%以上削減(BEI≦0.80) | 50%以上削減 | 中層〜高層(再エネ設置面積が限られる) |
| ZEH-M Oriented | 20%以上削減(BEI≦0.80) | 再エネ要件なし | 6層以上の高層集合住宅 |
【ポイント】
ZEH-M Orientedは高層マンションの現実に対応した区分であり、省エネ20%以上削減のみで認定が可能です。ただし補助金額や要件は区分によって異なります。最新の公募要領で必ず確認してください。
1-3 ZEH-MとZEH(戸建)・ZEBの違い
ZEH-Mは集合住宅を対象とする制度であり、戸建住宅を対象とするZEHや、非住宅建築物を対象とするZEBとは、対象用途・評価単位・補助制度が異なります。
戸建ZEHは原則として1戸単位で性能を評価するのに対し、ZEH-Mは住棟全体での評価が中心となるため、共用部を含む計算や住棟BELSが重要になります。
また、ZEBは事務所・病院・商業施設などの非住宅建築物を対象とするため、ZEH-Mと同じ文脈で単純比較するよりも、制度目的と評価対象の違いを押さえて使い分けるほうが実務的です。
| 比較項目 | ZEH(戸建) | ZEH-M(集合住宅) | ZEB(非住宅) |
| 対象建物 | 一戸建て住宅 | 共同住宅(集合住宅) | 事務所・学校等の非住宅 |
| 評価単位 | 住戸単体 | 住棟全体(共用部含む) | 建物全体 |
| 省エネ要件 | BEI≦0.80(20%削減) | BEI≦0.80(20%削減) | 用途別BEI=0.6〜0.7(将来的に) |
| 計算の複雑度 | 中程度 | 高い(住戸数分の計算+共用部) | 高い(複数用途・大規模) |
| 申請者登録 | ZEHビルダー/プランナー | ZEHデベロッパー | ZEBプランナー(補助要件による) |
第2章 令和7年度(2025年度)ZEH-M補助金の詳細
2-1 主要補助事業の概要
令和7年度(2025年度)の集合ZEH-M補助は、低層・中層・高層で公募枠と公募期間が分かれて実施されました。たとえば、低層ZEH-M促進事業は2025年6月16日〜12月5日、中層ZEH-M支援事業は2025年5月12日〜12月5日で公募が行われています。年度や区分によって受付期間・要件が異なるため、「集合ZEH-Mは一括で同じ公募」とは書かず、対象建物の階数区分ごとに最新の公募要領を確認する、という表現に修正するのが安全です。
令和8年度(2026年度)の公募については年度切り替えとともに新たに公募要領が公開される予定ですので、SII(環境共創イニシアチブ)の公式サイトで最新情報を確認してください。
【重要】
補助金は予算上限に達し次第、受付終了となります。令和8年度(2026年度)の新規公募が開始されたら速やかに申請準備を進めることが必須です。
① 集合住宅の省CO2化促進事業(環境省・経産省・SII)
戸建住宅ZEH化等支援事業と一体的に実施される、集合住宅向けの主要ZEH-M補助事業です。
令和7年度の集合ZEH-M補助は、主に「低層ZEH-M促進事業」「中層ZEH-M支援事業」「高層ZEH-M支援事業」に分かれて実施されています。記事内では便宜上まとめて「集合ZEH-M補助」と呼べますが、実務上は対象建物の階数区分ごとに別の公募要領を確認する必要があります。
| 項目 | 内容 |
| 補助対象者 | ZEH-Mを新築する事業者(デベロッパー・施工会社等)。ZEHデベロッパー登録が必須 |
| ZEH-M区分と補助額(低層:住宅用途部分3層以下) | ZEH-M・Nearly ZEH-M:各40万円/戸 |
| ZEH-M区分と補助額(中層:住宅用途部分4〜5層) | ZEH-M・Nearly ZEH-M・ZEH-M Ready:各40万円/戸 |
| ZEH-M区分と補助額(高層:住宅用途部分6層以上) | ZEH-M Oriented以上:補助対象経費の1/3以内 |
| BELS要件 | ZEH-Mの水準を示すBELS評価書の取得が必須 |
| 令和7年度公募期間(参考) | 公募期間は低層・中層・高層で異なります。申請時は、対象建物の階数区分に対応する最新の公募要領を必ず確認してください。 |
補助対象となるZEH-M水準は建物の階数区分によって異なります。令和7年度要領では、低層はZEH-M・Nearly ZEH-M、中層はZEH-M・Nearly ZEH-M・ZEH-M Ready、高層はZEH-M Oriented以上が対象です。対象建物の階数区分と求められるZEH-M水準をセットで確認することが重要です。
② みらいエコ住宅2026事業(令和7年度補正予算案・国土交通省等)
みらいエコ住宅2026事業は、住宅省エネ2026キャンペーンの一事業として実施される別制度です。共同住宅も対象に含まれますが、ZEH-M補助とは申請単位や対象要件が異なります。そのため、ZEH-M補助と同列に扱うのではなく、別制度として整理して比較することが重要です。
| 住宅区分 | 補助額(地域区分5〜8地域の基本額) |
| GX志向型住宅(断熱等級6以上・省エネ削減率要件あり) | 110万円/戸 |
| 長期優良住宅 | 75万円/戸 |
| ZEH水準住宅(断熱等級5以上・BEI≦0.80) | 35万円/戸 |
【注意】
みらいエコ住宅2026事業は令和7年度補正予算案に基づく事業であり、地域区分や除却加算の有無によって補助額が異なります。詳細要件・補助額・公募スケジュールは公式発表を必ず確認してください。集合住宅については国土交通省の最新情報を随時チェックすることを推奨します。
2-2 補助金を受けるための主な交付要件
| 要件項目 | 内容 |
| ZEHデベロッパー登録 | SIIへの「ZEHデベロッパー」登録が申請の前提条件。未登録の場合は補助金申請不可 |
| BELS評価書の取得 | 対象のZEH-M区分(ZEH-M/Nearly ZEH-M等)を証明するBELS評価書が必須 |
| 省エネ基準適合 | 建築物省エネ法の省エネ基準への適合(2025年4月より全新築建築物に義務化) |
| 設計段階での申請 | 交付決定前に着工してはならない(交付申請→交付決定→着工の順序が原則) |
| 中間・完了報告の提出 | BELS取得後の所定報告および完了実績報告が必要。完了実績報告は、事業完了日から30日以内または公募要領で定める期限のいずれか早い日までに提出する必要があります。 |
| 補助要件変更の禁止 | 交付決定後に設備仕様や計画内容を変更する場合は、事前に事務局へ確認し、必要な手続きを行う必要があります。 |
第3章 ZEHデベロッパー登録の要件と手続き
3-1 ZEHデベロッパーとは
ZEHデベロッパーとは、ZEH-M補助金(集合住宅省CO2化促進事業等)の申請に必要な事業者登録制度で、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が管理しています。デベロッパー・施工会社・設計施工会社等が登録対象となります。
なお、一戸建て向けのZEHビルダー/プランナーとは別の制度であり、集合住宅のZEH-M補助金申請には必ずZEHデベロッパー登録が必要です。混同しないよう注意が必要です。
3-2 ZEHデベロッパー登録の要件
| 要件 | 内容 |
| ZEH-M目標の公表 | 自社が関与するZEH-Mの普及目標を公表する義務 |
| 実績の報告 | 毎年度、ZEH-Mの設計・施工実績を報告する義務 |
| ZEH-M設計ガイドラインへの準拠 | SIIが公表するZEH-M設計ガイドラインに基づく設計能力の保有 |
| 登録更新 | 年度ごとに登録の更新手続きが必要 |
【注意】
ZEHデベロッパー登録の受付期間は年度ごとに定められており、令和7年度の新規登録受付は2026年1月23日17:00をもって終了しています。令和8年度の登録受付開始は年度切り替え後にSII公式サイトで確認してください。
第4章 BELS評価書の取得が補助金申請のカギ
4-1 BELS評価書とZEH-Mの関係
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)とは、建築物の省エネ性能を第三者機関が評価する制度です。ZEH-M補助金の申請では、対象区分(ZEH-M/Nearly ZEH-M/ZEH-M Ready/ZEH-M Oriented)を示すBELS評価書の取得が重要になります。
BELSの星の数そのものがZEH-Mの認定を意味するわけではなく、BELS評価書にZEH-Mである旨が表示されることで補助金申請書類として機能します。ZEH-Mを対外的に証明する手段としても、BELS評価書の取得は実務上ほぼ必須です。
4-2 BELS取得の流れ(ZEH-M申請との連動)
| ステップ | 作業内容 | 担当 |
| Step1 設計・仕様確定 | ZEH-M区分を踏まえた外皮仕様・設備仕様の設計最終化 | 設計者・デベロッパー |
| Step2 省エネ計算 | 全住戸の外皮性能計算(UA値・ηAC値)・一次エネルギー消費量計算(BEI)・共用部エネルギー計算 | 省エネ計算担当(内製または代行) |
| Step3 BELS申請 | 住宅性能評価・表示協会等のBELS評価機関に申請書類一式を提出 | BELS申請代行または設計者 |
| Step4 BELS評価・発行 | 第三者評価機関によるチェック・BELS評価書発行(審査期間は申請先や書類状況により異なる) | BELS評価機関 |
| Step5 補助金交付申請 | BELS評価書を添付してSIIに交付申請を提出(交付決定前に着工不可) | デベロッパー・申請代行 |
| Step6 着工・竣工 | 交付決定後に着工。事業完了後は、事業完了日から30日以内または公募要領で定める期限のいずれか早い日までに完了実績報告を提出 | 施工会社 |
【重要】
BELS評価書の審査期間は、評価機関や申請書類の整い具合、質疑対応の有無によって変動します。補助金申請の締め切りから逆算して、設計確定後はできるだけ早く省エネ計算・BELS申請に着手することが重要です。
4-3 集合住宅省エネ計算の特殊性と難しさ
集合住宅のBELS取得に必要な省エネ計算は、戸建と比べて以下の点で格段に複雑です。
- 住戸数分の計算が必要:30戸・50戸など戸数が多いほど計算書の作成量が増大
- 住戸タイプごとの外皮計算:角住戸・中住戸・最上階・最下階など方位・位置で外皮性能が異なる
- 共用部エネルギーの計算:廊下・エレベーター・共用照明・駐車場等の一次エネルギー消費量も合算
- 熱橋(線熱貫流率)の算定:住戸境界壁・床スラブ等の熱橋処理が結果に大きく影響
- ZEH-M区分別の創エネ計算:屋上太陽光発電の発電量を住棟全体で按分する計算が必要
第5章 省エネ計算・BELS申請を外部委託して業務効率化する
5-1 なぜ外注が有効な選択肢なのか
集合住宅のZEH-M申請に必要な省エネ計算・BELS申請書類の作成は、高度な専門知識と多大な工数を要します。設計事務所・ゼネコン・デベロッパーが自社で対応しようとすると、以下の課題が生じます。
| 内製の課題 | 具体的な内容 |
| 工数の膨大さ | 50戸の集合住宅であれば住戸タイプ数×外皮計算+一次エネ計算+共用部計算で膨大な時間が必要 |
| 専門人材の確保難 | 省エネ計算の専任担当者の採用・育成コストが高く、中小事業者には特に負担 |
| 制度変更への追従 | BELS要件・省エネ計算プログラムのバージョン更新・補助金要件改定への社内対応が困難 |
| 補助金期限リスク | 計算ミスによる差し戻しで申請が遅れると、予算上限で補助金が取れなくなるリスク |
| コア業務の圧迫 | 設計・営業・施工管理に割くべき人的リソースが省エネ計算に食われる |
こうした課題を解決するのが、省エネ計算・BELS申請の専門代行業者(BPO)への外注です。
5-2 外注でカバーできる業務範囲
- 集合住宅の外皮性能計算(UA値・ηAC値・熱橋処理を含む全住戸分)
- 一次エネルギー消費量計算(各住戸+共用部のBEI算出)
- ZEH-M区分(ZEH-M/Nearly ZEH-M等)の達成確認・シミュレーション
- 省エネ適合性判定(省エネ適判)申請書類の作成
- BELS申請書類一式の作成・申請サポート(評価機関への取り次ぎを含む場合あり)
- 補助金申請に必要な性能証明書類の整備
- 審査機関・評価機関からの質疑応答・差し戻し対応
5-3 外注のメリット:コストと時間の両面で
| メリット | 具体的な効果 |
| 速度向上 | 専門業者への外注により、社内対応よりも短期間で省エネ計算や申請準備を進めやすくなります。補助金申請の締め切りに向けて、余裕を持った工程管理につなげやすい点がメリット |
| 品質安定 | 有資格者によるダブルチェック体制でBELS差し戻しリスクを大幅低減 |
| コア業務集中 | 設計・施工管理・営業に人的リソースを集中。競合との差別化に注力できる |
| 制度対応委託 | BELS要件改定・省エネ計算プログラム更新への追従を代行業者が担当 |
| 変動費化 | 繁忙期だけ外注量を増やす柔軟な対応が可能。固定費化のリスクなし |
5-4 代行業者選定の6チェックポイント
| チェック項目 | 確認すべき内容 |
| ①集合住宅の実績 | 集合住宅(共同住宅)の省エネ計算・BELS申請の年間対応件数。ZEH-M申請実績の有無 |
| ②有資格者の在籍 | 建築士・建築物省エネルギー性能評価員などの有資格者が計算・審査を担当しているか |
| ③対応スピード | 案件規模や住戸タイプ数に応じた納期の目安。補助金締め切り前の緊急対応の可否と条件 |
| ④品質管理体制 | ダブルチェック体制の有無。BELS差し戻し発生時の修正対応方針とアフターフォロー |
| ⑤費用の透明性 | 住戸数・住戸タイプ数ごとの単価が明示されているか。追加費用の発生条件が明確か |
| ⑥コミュニケーション | 初回ヒアリングの丁寧さ・応答速度。設計情報の提供フォーマットが整備されているか |
5-5 省エネ計算代行の費用目安(集合住宅)
| 依頼内容 | 費用目安 |
| 外皮計算+一次エネ計算(〜20戸・単純プラン) | 15万円〜35万円前後 |
| 外皮計算+一次エネ計算(20〜50戸・複数住戸タイプあり) | 30万円〜80万円前後 |
| BELS申請書類作成サポート(上記に追加) | 10万円〜30万円前後(評価機関手数料別) |
| ZEH-M区分達成シミュレーション(複数仕様比較) | 追加5万円〜(仕様変更回数による) |
| 省エネ適合性判定(省エネ適判)対応を含む場合 | 個別見積もり(規模・用途複合度による) |
【参考】
補助金額(40万円/戸)と代行費用を比較すると、30戸の案件では補助金総額1,200万円に対して代行費用は数十万円〜100万円程度。代行費用は補助金の5〜10%以下に収まるケースが多く、費用対効果は非常に高いといえます。
第6章 補助金申請を成功させるためのスケジュール管理
6-1 ZEH-M補助金申請の典型的なスケジュール
| タイミング | 実施すべきアクション |
| 設計着手と同時(着工9〜12か月前) | ZEHデベロッパー登録の確認・新規登録手続き。補助事業の最新公募要領の確認 |
| 基本設計確定後(着工6〜9か月前) | 省エネ計算代行業者への依頼開始。ZEH-M区分の達成可能性を早期シミュレーション |
| 実施設計確定後(着工3〜6か月前) | 外皮計算・一次エネルギー計算の本計算。BELS評価機関への申請書類準備 |
|
BELS申請(着工2〜4か月前)
|
BELS評価機関への申請。審査期間は評価機関や申請条件によって変動するため、余裕を持ったスケジュール管理が必要 |
| BELS評価書取得後(着工1〜2か月前) | SIIへZEH-M補助金の交付申請を提出。交付決定通知を受領するまで着工不可 |
| 交付決定後 | 着工。事業完了後は、事業完了日から30日以内または公募要領で定める期限のいずれか早い日までに完了実績報告を提出 |
【最重要】
「交付決定前に着工してはならない」というルールを守らないと補助金が全額不支給になります。補助金申請スケジュールを設計・工程表に組み込んだ管理が必須です。
6-2 よくある失敗パターンと対策
- 失敗①:省エネ計算の着手が遅れ、BELS取得が補助金締め切りに間に合わなかった→対策:設計着手と同時に代行業者に連絡し、スケジュールを確保する
- 失敗②:計算書の不備でBELS差し戻しが発生し、着工が遅れた→対策:実績・有資格者在籍・ダブルチェック体制を確認した代行業者に依頼する
- 失敗③:ZEHデベロッパー登録が年度内に間に合わなかった→対策:新規案件の受注が見込まれる時点で事前に登録申請し、受付期間を確認する
- 失敗④:交付決定後に設備仕様を変更したため補助金が取り消された→対策:交付申請前に設計・仕様を最終確定し、変更が生じた場合は事前に事務局へ相談する
よくある質問(FAQ)
Q1. ZEH-M補助金はどの省庁が管轄していますか?また申請先はどこですか?
A.ZEH-M補助金(集合住宅の省CO2化促進事業)は、環境省と経済産業省が連携し、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が補助事業の実施・申請窓口を担っています。申請はSIIの「ZEHポータル」からオンラインで行います。みらいエコ住宅2026事業は国土交通省等が関与する別制度のため、申請先・要件を混同しないよう注意が必要です。
Q2. ZEHデベロッパーに登録していない場合、今からでも間に合いますか?
A.令和7年度(2025年度)のZEHデベロッパー新規登録受付は2026年1月23日をもって終了しています。令和8年度(2026年度)の登録受付は年度切り替え後にSII公式サイトで開始される予定ですので、次年度の公募に向けて早期に確認・申請することを推奨します。登録にはZEH-M目標の策定・公表が必要となるため、事前の社内準備も重要です。
Q3. BELS評価書の取得にはどのくらいの時間がかかりますか?
A.BELS評価書の取得に要する期間は、評価機関、申請書類の完成度、質疑の有無によって変動します。明確な全国一律の標準日数があるわけではないため、補助金申請の締切から逆算して早めに準備を進めることが重要です。省エネ計算書や設計図書を整えたうえで申請すると、手戻りを抑えやすくなります。急ぎの案件では、評価機関の受付状況や申請サポート体制も事前に確認すると安心です。
Q4. 省エネ計算を外部委託した場合、申請者(デベロッパー)の責任はどうなりますか?
A.省エネ計算・BELS申請の代行業者はあくまで書類作成の支援者であり、補助金交付申請の法的責任はデベロッパー(申請者)にあります。ただし、実績豊富な代行業者に依頼することで計算精度・書類品質が高まり、差し戻しや不支給リスクを大幅に下げることができます。代行業者選定時には、計算根拠を申請者に明確に説明できる能力があるか、審査機関からの質疑に同行・サポートしてもらえるかも確認しておくことを推奨します。
Q5. ZEH-M Ready や ZEH-M Oriented でも補助金は申請できますか?
A.対象区分は階数によって異なります。令和7年度要領では、低層はZEH-M・Nearly ZEH-M、中層はZEH-M・Nearly ZEH-M・ZEH-M Ready、高層はZEH-M Oriented以上が対象です。低層・中層は40万円/戸、高層は補助対象経費の1/3以内が基本ですが、実際の申請時は必ず最新の公募要領を確認してください。
Q6. 省エネ計算の代行費用と補助金額の関係はどう考えればよいですか?
A.たとえば30戸の集合住宅でZEH-Mを取得した場合、補助金総額は30戸×40万円=1,200万円となります。対して省エネ計算・BELS申請の代行費用は規模・仕様によりますが数十万円〜100万円程度が目安です。補助金総額の5〜10%以下に代行費用が収まるケースが多く、費用対効果の高い投資といえます。加えて、計算ミスによる補助金不支給リスクを回避できる保険としての価値も見込めます。
Q7. 小規模な設計事務所・工務店でもZEH-M補助金申請の代行サポートを受けられますか?
A.受けられます。省エネ計算代行業者の多くは事業者の規模を問わず1棟から対応しています。ZEH-M案件は初めてという場合でも、代行業者が申請フロー全体をサポートするサービスを提供しているところがあります。
また、ZEHデベロッパー登録の申請サポートを行っている業者もあります。「ZEH-M案件の受注は決まったが、自社で計算・申請できるか不安」という場合は、まず代行業者に無料相談で現状を伝え、どこまでサポートしてもらえるかを確認してみることをお勧めします。
まとめ
ZEH-M補助金は、集合住宅のZEH化に伴う初期負担を軽減できる有効な支援制度です。一方で、補助金を確実に活用するには、ZEHデベロッパー登録、省エネ計算、BELS評価書の取得、交付申請、交付決定後の着工といった一連の手続きを、要件と期限を踏まえて正確に進める必要があります。
実務上の負荷が大きいのは、集合住宅特有の省エネ計算とBELS申請対応です。設計・施工・開発の本来業務を止めずに補助金活用を進めるには、集合住宅案件に慣れた省エネ計算・BELS対応のパートナーと早い段階で連携し、申請スケジュールを逆算して準備することが重要です。
特に補助金制度は、公募開始後に準備を始めるのでは遅れることがあります。採択の可能性を高めるためにも、図面や計画条件が固まり次第、複数社に見積もりを依頼し、対応範囲・品質・納期・実績を比較したうえで、早めに体制を整えておくと安心です。
省エネ計算をはじめ、省エネ適判や住宅性能評価など、手間のかかる業務は外注し、自社のリソースをコア業務に集中させれば、円滑な計画進行が期待できるのではないでしょうか。
累計3,000棟以上の省エネ計算実績、リピート率93.7%、審査機関との質疑応答まで丸ごと外注できる環境・省エネルギー計算センターにぜひご相談ください。
※専門的な内容となりますので、個人の方は設計事務所や施工会社を通してご依頼をお願いいたします。




