2022年6月に建築物省エネ法が改正されたのに伴い、2025年4月からすべての住宅・非住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。
この記事では省エネ基準適合住宅の認定条件や申請方法、証明書の発行方法を解説します。適合にかかるコストや他の省エネ住宅との違いも紹介しますので、省エネ基準適合住宅を計画する際の参考にしてください。
あわせて、令和8年度税制改正で引き下げられた住宅ローン減税の借入限度額と、2028年以降に建築確認を受ける新築が原則として対象外になる「2028年問題」も整理します。判断の分岐点は入居日ではなく、建築確認を受けた日です。
この記事でわかること
- 2026〜2027年に入居する場合、住宅の区分ごとの借入限度額
- 2028年以降の適用除外に、自分の計画が該当するかの判定方法
- 減税に必要な証明書類と、検査済証で代替できるケース
本記事は2026年8月時点で公表されている法令・告示および官公庁の資料に基づいています(出典:国土交通省/国税庁)。制度は改正される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
省エネ基準適合住宅とは
省エネ基準適合住宅は、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)に定められた省エネ基準に適合した住宅です。
省エネ基準に適合した住宅は、人々が室内で快適に過ごし、環境を保全するための最低基準をクリアしていると判断できます。
具体的には、断熱等性能等級4以上と一次エネルギー消費量等級4以上という2つの条件を、どちらも満たす必要があります。見落とされやすいのは、この2つが「または」ではなく「かつ」の関係にある点です。断熱材や窓を高性能にしても、給湯器やエアコンの効率が基準に届かなければ適合しません。外皮と設備の両輪がそろって、初めて基準を満たします。
省エネ基準適合住宅の認定に必要な2つの条件
省エネ基準適合住宅と認定されるための条件を2つ解説します。
①断熱等性能等級4以上
住宅の断熱性能とは、壁や床、窓、屋根などを通して室内外の熱移動が行われるのを防ぐ性能で、住宅全体の室温を長く快適に保つのに欠かせない性能です。
断熱性能は外皮平均熱貫流率(UA値)で算出し、数値が小さいほど断熱性能が高くなります。
断熱性能の基準値は各地域の気象や実情に合わせ、8つの区分に分類されています。

引用:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度
また、断熱性能の高さを比較しやすくするため、7段階の断熱性能等級が設けられています。かつては等級4が最高等級でしたが、2022年に等級5〜7が新設され、現在は等級4が下から4番目の位置づけです。つまり等級4は優れた性能ではなく、最低限クリアすべきラインだと理解してください。

引用:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」
省エネ基準に適合するには、断熱等級4以上の断熱性能が必要です。
②一次エネルギー消費量等級4以上
一次エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスなど自然由来の資源のエネルギーです。
住宅では、冷暖房や照明、換気設備などで一次エネルギーを多く消費します。
一次エネルギーを消費する際に発生するCO2は、地球温暖化の原因のひとつとされており、住宅で使用する一次エネルギー消費量を削減するのが、脱炭素社会の実現には不可欠です。
一次エネルギー消費量の算出にはBEIを使用し、値が小さいほど性能が高いと判断されます。
一次エネルギー消費量も断熱性能と同じく、6段階の等級が設けられています。
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等級 |
BEI |
備考 |
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6等級 |
0.8以下 |
長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準 |
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5等級 |
0.9以下 |
- |
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4等級 |
1.0以下 |
省エネ基準 |
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3等級 |
1.1以下 |
既存住宅のみ |
省エネ基準をクリアするには、4等級以上の取得が必要です。ZEH水準にあたるのは、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(BEI0.8以下)です。
2025年4月の義務化で変わったこと(適合は安心ではなく最低ライン)
近年、世界中で持続可能な社会づくりのための脱炭素社会が提唱されており、日本でも2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。
その前段階として2022年6月に建築物省エネ法が改正され、2025年4月より原則的に全ての住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました。

引用:国土交通省「省エネ基準適合見直し3つのポイント」
これは努力目標ではありません。基準に適合していなければ建築確認の確認済証が交付されず、着工そのものができません。完成後も検査済証が交付されないため、引き渡しも不可能になります。したがって、これから新築する住宅が省エネ基準適合住宅であることは、もはや特別なことではなく出発点にすぎません。
そして、全員が満たす水準を優遇し続ける理由は薄れるため、省エネ基準適合住宅への支援は段階的に縮小されています。国は2030年度以降に新築される住宅についてZEH水準の確保を目指すとしており、義務化は「安心材料」ではなく、むしろ「優遇からの卒業」を意味すると考えてください。
省エネ基準適合住宅の申請方法
省エネ基準適合住宅を得るには、住宅性能評価・表示協会が実施する省エネ適合性判定(省エネ適判)を受ける必要があります。
ただし、次のいずれかに該当する住宅は、省エネ適判の省略が可能です。
- 設計に仕様基準等を用いる
- 設計性能評価書を取得している(省エネ基準以上の性能を証明できる場合のみ)
- 長期優良住宅認定通知書などを取得している
一定の基準を満たしている住宅は省エネ適判を省略できます。
申請の必要書類
省エネ適判に必要な書類は、次のとおりです。
- 建築計画書
- 添付図書(設計内容説明書・配置図・仕様書・立体図など)
- 建築主からの委任状および同意書
審査を依頼する行政庁や評価機関によって、追加で提出が求められる書類もあります。
申請の流れ
省エネ適判の申請の流れは、次のとおりです。

引用:住宅性能評価・表示協会「省エネ適合性判定とは」
完了検査をクリアし、検査済証を交付されないと住宅に入居できません。
建築主への引き渡しが予定通りに進められるよう、省エネ計算や図書の用意を不備なく用意し、審査をスムーズに進めるのが重要です。
【2026年最新】住宅ローン減税の借入限度額はいくらか
住宅ローン控除とは、住宅ローン残高の一定割合が所得税から控除される制度です。
令和8年度税制改正により、住宅ローン控除は2030年末まで5年間延長されました。2026年1月〜2030年12月31日までに入居した場合に適用されます。省エネ基準に適合しない住宅(「その他の住宅」)は控除対象外です。
まず結論として、省エネ基準適合住宅の借入限度額は2026年入居分から1,000万円引き下げられました。他サイトで3,000万円や4,000万円という数字を見た場合、それは2025年入居までの旧制度である可能性を疑ってください。
新築住宅の借入限度額( 2026年〜2027年入居)
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住宅区分 |
一般世帯 |
子育て世帯・若者夫婦世帯 |
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認定住宅(長期優良・低炭素) |
4,500万円 |
5,000万円 |
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ZEH水準省エネ住宅 |
3,500万円 |
4,500万円 |
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省エネ基準適合住宅 |
2,000万円 |
3,000万円 |
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その他の住宅 |
対象外 |
対象外 |
省エネ基準適合住宅の借入限度額は、2025年入居時の3,000万円(一般)・4,000万円(子育て等)からそれぞれ1,000万円引き下げられています。上位2区分(認定住宅・ZEH水準)の限度額は据え置かれており、引き下げられたのは省エネ基準適合住宅だけです。より高い控除額を得たい場合は、ZEH水準以上の性能を検討する価値があります。
なお子育て等世帯とは、19歳未満の扶養親族がいる世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯を指し、入居した年の12月31日時点の状況で判定されます。また、床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、子育て等世帯であっても借入限度額の上乗せは適用されません。
床面積40㎡以上への緩和と、その例外
これまで原則50㎡以上だった床面積要件が、40㎡以上に緩和されました(合計所得金額1,000万円以下の場合)。既存住宅にも適用が拡大されています。ただし前述のとおり、40㎡以上50㎡未満で子育て等世帯の上乗せ枠を使う場合は、従来どおり50㎡以上が必要です。コンパクトな住宅を検討する子育て世帯は、上乗せ枠を使うなら床面積50㎡以上を確保できるか設計段階で確認しておきましょう。
2028年以降は原則対象外|分岐点は入居日ではなく建築確認日
今から家を建てる方にとって、ここが最も重要です。令和8年度税制改正により、建築確認が令和10年(2028年)以降となる省エネ基準適合住宅は、住宅ローン減税の適用対象外とされました。多くの方が誤解しているのは、この分岐が「入居日」で決まると思い込んでいる点です。実際に見ているのは、建築確認を受けた日です。
対象外となる条件と、2027年末までの経過措置
完全に打ち切られるわけではありません。2027年12月31日までに建築確認を受けた省エネ基準適合住宅(登記簿上の建築日付が2028年6月30日以前のものを含む)は、2028〜2030年に入居した場合でも、借入限度額2,000万円・控除期間10年として適用を受けられます。ただし控除期間が13年から10年へ短縮される点に注意してください。経過措置は救済であって、従来どおりの優遇ではありません。
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建築確認の取得時期 |
入居年 |
借入限度額(一般/子育て等) |
控除期間 |
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2027年12月31日まで |
2026〜2027年 |
2,000万円/3,000万円 |
13年 |
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2027年12月31日まで |
2028〜2030年 |
2,000万円 |
10年 |
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2028年1月1日以降 |
2028年以降 |
原則対象外 |
― |
都心の狭小地や防火地域での3階建てなど、設計と申請に時間を要するケースでは、建築確認のタイミングが想定よりずれ込むことがあります。「2028年春に完成すればいい」という感覚でスケジュールを組むと、建築確認の締切に間に合わない可能性があります。省エネ性能を引き上げるかどうかの判断は、間取りが固まる前、遅くとも実施設計に入る前に済ませてください。
実際にいくら控除されるのか(モデルケースで確認)
限度額の表を見ただけでは、自分がいくら得をするのかは見えてきません。借入3,800万円・子育て世帯・2027年入居を例に考えます。省エネ基準適合住宅は借入限度額3,000万円で頭打ちとなり、初年度の控除額は3,000万円×0.7%=約21万円です。一方、ZEH水準・認定住宅は限度額が借入額(3,800万円)を上回るため、初年度は年末残高×0.7%、およそ26万円が上限になります。
ここで注目したいのは、ZEH水準と認定住宅で控除額に差が出ない点です。借入額が両者の限度額をどちらも下回るため、実際の控除額は年末残高で決まります。限度額の大きさが直接メリットに変わるのは、借入額がその限度額を超える場合だけです。限度額の表だけを見ると大きな開きがあるように見えても、実際の差はもっと小さいことが多いのです。
もうひとつ、住宅ローン控除は納めた所得税・住民税(住民税からの控除には上限あり)を超えては受けられません。借入額が大きくても控除枠を使い切れないことがあるため、資金計画では控除をあてにしすぎないことをおすすめします。ご自身の借入額を当てはめて試算してください。
省エネ基準適合のままでよいか、ZEH水準まで上げるべきか
判断材料は控除額だけではありません。性能・優遇・2028年以降の扱いを並べて比較します。
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住宅区分 |
断熱等級 |
一次エネ等級 |
借入限度額(2026年・子育て等) |
2028年以降 |
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省エネ基準適合住宅 |
4以上 |
4以上 |
3,000万円 |
原則対象外 |
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ZEH水準省エネ住宅 |
5以上 |
6以上 |
4,500万円 |
継続 |
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認定長期優良・低炭素住宅 |
5以上 |
6以上 |
5,000万円 |
継続 |
GX志向型住宅(断熱等性能等級6以上・一次エネルギー消費量の削減率35%以上など)は、補助金では最も手厚い区分ですが、住宅ローン控除では認定住宅・ZEH水準として扱われます。
適合にかかる追加コストと回収年数
国土交通省の資料では、省エネ基準に適合するために必要な追加コストは一般的な住宅の約4.0%分(87万円程度)と試算されています。一方、一般的な住宅よりも年間2.5万円程度の光熱費が削減できると考えられており、追加コスト分は約35年で回収できると予測されています。
これは省エネ基準に適合させる場合の数字で、ZEH水準まで引き上げる場合はさらに費用が上乗せされます。ただし国土交通省も、ZEH水準の住宅は省エネ基準ぎりぎりの住宅より光熱費を抑えられるとしており、削減額は地域や暮らし方で変わり、寒冷地ほど差が大きくなる傾向です。控除額の差、建築費の増加分、年間光熱費の差、将来の売却時の評価という4つを並べて判断してください。
省エネ基準適合のままで合理的なケース
すべての方にZEH水準をおすすめするわけではありません。
- 2027年12月31日までに建築確認を取得できる見込みが確実
- 借入額が2,000万〜3,000万円程度に収まり限度額の差が控除額に反映されにくい
- 温暖地で冷暖房の使用時間が短い暮らし方
この3つがそろう場合は、省エネ基準適合のままでも合理的な選択になり得ます。住宅会社から提示された見積もりの増額分と、控除・光熱費の差を並べて比較してみてください。
2026年度の補助金は省エネ基準適合単体では対象外
省エネ基準適合住宅のみを対象とした補助金制度は、現時点では確認されていません。2026年度の主要な補助制度は「みらいエコ住宅2026事業」で、GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅の新築などが対象です(GX志向型が最も手厚く、以下 長期優良、ZEH水準の順)。2025年度の「子育てグリーン住宅支援事業」の後継として、国土交通省・経済産業省・環境省が実施しています。
制度名が変わっている点に注意してください(旧名で検索しても最新要件にはたどり着けません)。また、注文住宅の新築でZEH水準住宅として申請する場合、交付申請の受付期間が他区分より早く設定されています。補助額・期限は変動し、予算上限に達すると受付が終了するため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
適合を証明する書類と取得方法(検査済証で代替できる場合がある)
住宅が基準を満たしていても、それを証明する書類を確定申告で提出しなければ、上乗せされた借入限度額は適用されません。そしてこの書類は、自動的に発行されるものではありません。
住宅ローン控除で省エネ基準適合住宅・ZEH水準を証明するには、「住宅省エネルギー性能証明書」または「建設住宅性能評価書」の写しが必要です。2026年1月1日以降の居住開始日用の新様式が国土交通省HPで公開されています。
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書類名 |
新築/中古 |
住宅ローン減税 |
費用の目安 |
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住宅省エネルギー性能証明書 |
両方○ |
使える |
約2.2万〜11万円 |
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建設住宅性能評価書(写し) |
両方○ |
条件付きで可 |
数万円〜 |
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BELS評価書 |
両方○ |
使えない |
数万円〜 |
建設住宅性能評価書は、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の双方の評価が示されているものに限られます。BELS評価書は省エネ性能の表示制度としては有効ですが、住宅ローン減税の区分適用には使えない点に注意してください。
2025年4月1日以降に建築確認を受けた新築は、検査済証で代替できる
まだあまり知られていない重要ポイントです。省エネ基準適合住宅の区分を適用するにあたり、新築住宅として2025年4月1日以降に建築確認を受けたことが分かる検査済証を提出する場合は、住宅省エネルギー性能証明書の提出に代えることができます。2025年4月以降に建築確認を受けた新築は、省エネ基準に適合していなければ検査済証が交付されないため、検査済証そのものが適合の証明になる、という整理です。
検査済証は引き渡し時に受け取る書類のひとつですから、追加の費用はかかりません。2025年4月1日以降に建築確認を受けた新築であれば、証明書の発行を依頼する前に、検査済証で代替できないかを住宅会社や所轄の税務署に確認してください。ただしZEH水準として高い限度額を狙う場合は、引き続き証明書等が必要です。
住宅省エネルギー性能証明書の取得方法
住宅ローン控除に必要な住宅省エネルギー性能証明書は、次の4パターンで発行可能です。
- 登録住宅性能評価機関
- 対象住宅の設計・工事監理等を行った建築士
- 指定確認検査機関
- 住宅瑕疵担保責任保険法人
登録住宅性能評価機関に依頼した場合の費用は、機関によっておよそ2.2万円から11万円まで開きがあります。建築士自らが発行すると、手数料などのコストを抑えられます。まずは施工を依頼する住宅会社に、誰が発行するのかと費用を確認するところから始めましょう。
中古住宅は2026年から扱いが有利になった
新築で省エネ基準適合の支援が縮小した一方、中古住宅では逆の動きが起きています。令和8年度税制改正では、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額が引き上げられ、子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ措置が設けられるとともに、控除期間が10年から13年に拡充されました。従来、既存住宅の控除期間は10年が上限でしたので、省エネ基準適合以上であれば新築と同じ13年間受けられるようになったことは、住み替えを検討する方にとって大きな変化です。
なお、2028年以降の適用除外は新築の建築確認を基準とした措置であり、中古住宅の取得はこの変更の対象外とされています。既存住宅の区分別の限度額は改正で見直されているため、正確な額は国土交通省の最新資料でご確認ください。
中古住宅・マンションが省エネ基準適合住宅かどうか確認する方法
中古住宅や中古マンションの購入を検討しており、省エネ基準に適合しているか調べたい場合は、下記の方法がおすすめです。
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確認方法 |
概要 |
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住宅性能評価書 |
国が認めた住宅性能評価機関に審査を依頼し、住宅が省エネ基準を満たしているか評価してもらう |
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BELS評価書 |
BELS評価機関に審査を依頼し、住宅の省エネ性能を評価してもらう |
住宅省エネルギー性能証明書は、中古住宅でも取得後に発行を依頼できます(新築時のみではありません)。新築時の建設住宅性能評価書が手元にあれば、それが使える場合もあります。どちらも第三者機関による客観的な評価を受けられるため、評価の信頼性が高まります。
省エネ基準適合住宅と他の省エネ住宅との性能比較一覧
省エネ基準適合住宅以外にもさまざまな省エネ住宅がありますが、性能にどれ程の違いがあるのか気になりますよね。
そこで、代表的な省エネ住宅の特徴や違いを一覧にまとめました。
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省エネ住宅の種類 |
一次エネ等級 |
断熱等級 |
特徴 |
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ZEH住宅 |
6以上 |
5以上 |
断熱・省エネ・創エネによりCO2の収支0以下を目指す |
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長期優良住宅 |
6以上 |
5以上 |
耐震性や劣化対策なども評価対象 |
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低炭素住宅 |
6以上 |
5以上 |
市街化区域等が対象で、省エネ基準を超える性能かつ低炭素に資する措置が必要 |
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LCCM住宅 |
6以上 |
5以上 |
ライフサイクルを通じてCO2の収支マイナスを目指す |
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性能向上計画認定住宅 |
6以上 |
5以上 |
省エネ基準以上の性能を目指す |
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省エネ基準適合住宅 |
4以上 |
4以上 |
建築物省エネ法の省エネ基準を満たした住宅 |
省エネ基準適合住宅以外の省エネ住宅は、省エネ基準を上回るエネルギー消費量削減率と断熱性能の高さ、プラスαの性能が求められます。
住宅会社との打ち合わせ前に確認すべきこと
ここまでの内容を行動に落とし込みます。押さえるべきは、建築確認の時期・住宅区分・証明書の発行者の3点です。省エネ適合性判定の書類審査にはおよそ1〜2週間かかり、繁忙期はさらに要します。性能を変更するなら実施設計に入る前、証明書の手配を確認するなら契約時が目安です。次の5つを、そのまま担当者に聞いてみてください。
- 当社の標準仕様は、住宅ローン減税のどの住宅区分に該当しますか
- 建築確認の取得は、いつ頃を予定していますか
- 確定申告で使う証明書類は、誰が、いつ発行しますか。費用はいくらですか
- 検査済証での代替が可能かどうか、確認していただけますか
- ZEH水準まで引き上げた場合、建築費はいくら増えますか。判断のデッドラインはいつですか
この5問に即答できる担当者であれば、制度対応の準備は整っていると考えて差し支えありません。回答が曖昧であれば、書面での回答をお願いしましょう。数百万円が動く判断ですから、遠慮する必要はありません。
省エネ基準適合住宅でよくある質問
Q. 省エネ基準適合住宅とZEH水準省エネ住宅の違いは何ですか
A.求められる等級が異なります。省エネ基準適合住宅は断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上、ZEH水準省エネ住宅は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上です。なおZEH水準は、太陽光発電などの創エネ設備を必須としない点で、ZEH住宅そのものとは区別されます。
Q. 省エネ基準の審査や適合判定の手続きは施主が行うのですか?
A.いいえ。省エネ性能の計算や証明書の取得、確認申請・適合性判定の手続きは、すべて設計を請け負う設計事務所やハウスメーカー・工務店が実務を代行します。施主自身が申請手続きを行う必要はありませんが、スケジュールへの影響を防ぐため、いつ頃確認申請や証明書の手配を行う予定なのかは担当者に確認しておくと安心です。
Q. 災害レッドゾーン内の新築は控除の対象になりますか
A.令和10年(2028年)以降に入居する場合、土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーンにおける新築住宅は適用対象外とされました。土地の購入前にハザード情報を確認しておくことをおすすめします。
Q. 「子育てグリーン住宅支援事業」はまだ使えます
A.2025年度で終了しています。後継として2026年度に「みらいエコ住宅2026事業」が創設されました。補助額や対象要件は見直されているため、旧制度の情報で資金計画を立てないよう注意してください。
Q.省エネ基準適合住宅にかかるコストは?
国土交通省の調査によると、省エネ基準に適合するために必要な追加コストは、一般的な住宅の約4.0%分(87万円程度)だと試算されています。
一方、一般的な住宅よりも年間2.5万円程度の光熱費が削減できると考えられており、追加コスト分は約35年で回収できると予測されています。長期的に住み続けると考えると、大きな負担にはならないでしょう。
2030年度までに省エネ基準がZEH水準まで引き上げへ
現在の省エネ基準では、2050年のカーボンニュートラルの実現が困難だとされています。
そこで2030年度までに、住宅の省エネ基準をZEH水準まで引き上げる計画が進行しています。
その前段階としてZEH水準が「誘導基準」に設定されており、建築事業者はZEH水準の住宅を推進する姿勢が重要です。
実際に、令和8年度税制改正では2028年以降に省エネ基準適合住宅が住宅ローン控除の対象外となる予定であり、税制面でもZEH水準以上が実質的な最低ラインになりつつあります。今から新築を計画する際は、ZEH水準以上の性能を視野に入れておくことが、顧客への提案力強化にもつながります。
まとめ|判断の期限は建築確認の取得日
2025年度から全ての新築建築物で省エネ基準への適合が義務化され、これから施工される住宅は省エネ基準適合住宅であるのが基本になります。
ただし、2026年入居の借入限度額は一般2,000万円・子育て等世帯3,000万円へ引き下げられ、2028年以降に建築確認を受ける新築は原則対象外です。分岐は入居日ではなく建築確認日である点に注意してください。
また、2025年4月1日以降に建築確認を受けた新築なら、検査済証で証明書に代えられる場合があります。ご自身の家がどの区分に該当し、建築確認がいつ取得される予定なのか、この2つが分かれば、受け取れる控除額はその場で確定します。
本記事を参考に、申請方法や必要事項を抑えて省エネ基準適合住宅への理解を深めていきましょう。










