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省エネ基準適合住宅とは?証明書や住宅ローン減税の申請方法も解説

2022年6月に省エネ基準法が改正されたのに伴い、2025年4月からすべての住宅・非住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。

この記事では省エネ基準適合住宅の認定条件や申請方法、証明書の発行方法を解説します。

適合にかかるコストや他の省エネ住宅との違いも紹介しますので、省エネ基準適合住宅を計画する際の参考にしてください。

 

省エネ基準適合住宅とは

省エネ基準適合住宅は、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)に定められた省エネ基準に適合した住宅です。

省エネ基準に適合した住宅は、人々が室内で快適に過ごし、環境を保全するための最低基準をクリアしていると判断できます。

参照:建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律

 

省エネ基準適合住宅の認定に必要な2つの条件

省エネ基準適合住宅と認定されるための条件を2つ解説します。

①断熱性能等級4以上

住宅の断熱性能とは、壁や床、窓、屋根などを通して室内外の熱移動が行われるのを防ぐ性能で、住宅全体の室温を長く快適に保つのに欠かせない性能です。

断熱性能は外皮平均熱貫流率(UA値)で算出し、数値が小さいほど断熱性能が高くなります。

断熱性能の基準値は各地域の気象や実情に合わせ、8つの区分に分類されています。

引用:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度

また、断熱性能の高さを比較しやすくするため、7段階の断熱性能等級が設けられています。

引用:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度

省エネ基準に適合するには、断熱等級4以上の断熱性能が必要です。

②一次エネルギー消費量等級4以上

一次エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスなど自然由来の資源のエネルギーです。

住宅では、冷暖房や照明、換気設備などで一次エネルギーを多く消費します。

一次エネルギーを消費する際に発生するCO2は、地球温暖化の原因のひとつとされており、住宅で使用する一次エネルギー消費量を削減するのが、脱炭素社会の実現には不可欠です。

一次エネルギー消費量の算出にはBEIを使用し、値が小さいほど性能が高いと判断されます。

一次エネルギー消費量も断熱性能と同じく、6段階の等級が設けられています。

 

等級 BEI 備考
6等級 0.8以下 長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH住宅
5等級 0.9以下
4等級 1.0以下 省エネ基準
3等級 1.1以下 既存住宅のみ

 

省エネ基準をクリアするには、4等級以上の取得が必要です。

 

2025年度からすべての建築物で省エネ基準適合が義務化へ

近年、世界中で持続可能な社会づくりのための脱炭素社会が提唱されており、日本でも2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。

その前段階として2022年6月に建築物省エネ法が改正され、2025年4月より原則的に全ての住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました。

引用:国土交通省「省エネ基準適合見直し3つのポイント

そのため、2025年4月以降に工事に着工する住宅は、省エネ基準適合住宅に該当しているのが基本です。

 

省エネ基準適合住宅の申請方法

省エネ基準適合住宅を得るには、住宅性能評価・表示協会が実施する省エネ適合性判定(省エネ適判)を受ける必要があります。

ただし、次のいずれかに該当する住宅は、省エネ適判の省略が可能です。

  • 設計に仕様基準等を用いる
  • 設計性能評価書を取得している(省エネ基準以上の性能を証明できる場合のみ)
  • 長期優良住宅認定通知書などを取得している

一定の基準を満たしている住宅は省エネ適判を省略できます。

申請の必要書類

省エネ適判に必要な書類は、次のとおりです。

  1. 建築計画書
  2. 添付図書(設計内容説明書・配置図・仕様書・立体図など)
  3. 建築主からの委任状および同意書

審査を依頼する行政庁や評価機関によって、追加で提出が求められる書類もあります。

申請の流れ

省エネ適判の申請の流れは、次のとおりです。

引用:住宅性能評価・表示協会「省エネ適合性判定とは

完了検査をクリアし、検査済証を交付されないと住宅に入居できません。

建築主への引き渡しが予定通りに進められるよう、省エネ計算や図書の用意を不備なく用意し、審査をスムーズに進めるのが重要です。

 

2024年度から住宅ローン控除の対象は省エネ基準以上の住宅に

住宅ローン控除とは、住宅ローン残高の一定割合が所得税から控除される制度です。

2024年4月から省エネ基準以上の性能を持つ住宅のみ、住宅ローン控除の恩恵を受けられるよう改正されました。

引用:国土交通省「住宅ローン減税改正(令和4年度)3つのポイント

省エネ適判をクリアした住宅は、3,000万円まで控除を受けられます。

住宅ローン控除の必要書類

住宅ローン控除を受けるために必要な書類は、次のとおりです。

  1. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  2. 住宅所得金に係る借入金の年末残高等証明書
  3. 床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類(登記事項証明書など)
  4. 住宅の取得対価を明らかにする書類(工事請負契約書など)
  5. 土地の取得年月日や取得対価を明らかにする書類(土地を購入した場合)
  6. 補助金等の額を証明する書類(補助金等の交付を受けた場合)
  7. 贈与税の申告書(贈与を受けた場合)

さらに省エネ基準適合住宅を証明するには、「住宅省エネルギー性能証明書」または「建設住宅性能評価書」の写しが必要です。

住宅省エネルギー性能証明書の取得方法

住宅ローン控除に必要な住宅省エネルギー性能証明書は、次の4パターンで発行可能です。

  1. 登録住宅性能評価機関
  2. 対象住宅の設計・工事管理等を行った建築士
  3. 指定確認検査機関
  4. 住宅瑕疵担保責任保険法人

建築士自らが発行すると、手数料などのコストを抑えられます。

 

中古住宅・マンションが省エネ基準適合住宅かどうか確認する方法

中古住宅や中古マンションの購入を検討しており、省エネ基準に適合しているか調べたい場合は、下記の方法がおすすめです。

 

確認方法 概要
住宅性能評価書 国が認めた住宅性能評価機関に審査を依頼し、住宅が省エネ基準を満たしているか評価してもらう
BELS評価書 BELS評価機関に審査を依頼し、住宅の省エネ性能を評価してもらう

 

住宅省エネルギー性能証明書は新築時のみ取得可能なので、住宅性能評価書かBELS評価書の取得を検討しましょう。

どちらも第三者機関による客観的な評価を受けられるため、評価の信頼性が高まります。

 

省エネ基準適合住宅と他の省エネ住宅との性能比較一覧

省エネ基準適合住宅以外にもさまざまな省エネ住宅がありますが、性能にどれ程の違いがあるのか気になりますよね。

そこで、代表的な省エネ住宅の特徴や違いを一覧にまとめました。

 

省エネ住宅の種類 エネルギー消費量等級 断熱性能等級 特徴
ZEH住宅 6等級以上 5等級以上 断熱・省エネ・創エネによりCO2の収支0以下を目指す
長期優良住宅 6等級以上 5等級以上 耐震性や劣化対策なども評価対象
低炭素住宅 6等級以上 5等級以上 市街化区域等が対象で、省エネ基準を超える省エネ性能かつ低炭素に資する措置が必要
LCCM住宅 6等級以上 5等級以上 住宅建設時のCO2排出量も含め、ライフサイクルを通じてCO2の収支マイナスを目指す
性能向上計画認定住宅 6等級以上 5等級以上 省エネ基準以上の性能を目指す
省エネ基準適合住宅 4等級以上 4等級以上 建築物省エネ法の省エネ基準を満たした住宅

 

省エネ基準適合住宅以外の省エネ住宅は、省エネ基準を上回るエネルギー消費量削減率と断熱性能の高さ、プラスαの性能が求められます。

 

省エネ基準適合住宅でよくある質問

省エネ基準適合住宅でよくある質問を3つ解説します。

2025年度に省エネ基準適合住宅で使える補助金制度はある?

現時点では、省エネ基準適合住宅のみを対象とした明確な補助金制度は確認されていませんが、ZEH住宅や長期優良住宅など、省エネ基準以上の省エネ住宅を建築する際に、「子育てグリーン住宅支援事業」や「ZEH支援事業」等の助成制度が受けられます。

省エネ基準適合住宅にかかるコストは?

国土交通省の調査によると、省エネ基準に適合するために必要な追加コストは、一般的な住宅の約4.0%分(87万円程度)だと試算されています。

一方、一般的な住宅よりも年間2.5万円程度の光熱費が削減できると考えられており、追加コスト分は約35年で回収できると予測されています。

長期的に住み続けると考えると、大きな負担にはならないでしょう。

住宅省エネルギー性能証明書にかかる費用は?

証明書の取得にかかる費用は、発行を依頼する場所によって異なります。

登録住宅性能評価機関に依頼する場合でも、依頼する機関によって差があります。

 

機関名 費用(1戸あたり)
株式会社住宅性能評価センター 110,000円~
ビューローベリタスジャパン株式会社 66,000円~
株式会社確認サービス 22,000円~
株式会社東京建築検査機関 66,000円~

 

対象住宅の設計・工事管理等を行った建築士が発行すると、費用を抑えられるでしょう。

 

2030年度までに省エネ基準がZEH水準まで引き上げへ

現在の省エネ基準では、2050年のカーボンニュートラルの実現が困難だとされています。

そこで2030年度までに、住宅の省エネ基準をZEH水準まで引き上げる計画が進行しています。

その前段階としてZEH水準が「誘導基準」に設定されており、建築事業者はZEH水準の住宅を推進する姿勢が重要です。

 

まとめ

2025年度から全ての新築建築物で省エネ基準への適合が義務化され、これから施工される住宅は省エネ基準適合住宅であるのが基本になります。

本記事を参考に、申請方法や必要事項を抑えて省エネ基準適合住宅への理解を深めていきましょう。

 

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