「省エネ適判で指摘を受けて手戻りが発生した」「どんな項目がチェックされるのか不安」「完了検査で不適合となり引き渡しが遅れた」2025年4月(令和7年4月)以降に着工する原則すべての新築建築物は、省エネ基準への適合が義務化されました。
そのうえで、案件の用途・規模・申請ルートによって「省エネ適合性判定(省エネ適判)」として判定機関の審査を受けるケースと、確認手続きの中で省エネ適合確認が行われるケースがあり、いずれの場合も「指摘→手戻り」を防ぐ実務対応が重要になります。
この記事では、2026年最新の情報に基づき、省エネ適判で実際に指摘される事例を分類別に解説し、それぞれの原因と具体的な対策を実務者目線で詳しく紹介します。
省エネ適判の指摘は、単なる書類修正に留まらず、確認済証の遅れ・着工遅延・完了検査の再手続きに波及し、引き渡し遅延やコスト増の火種になります。だからこそ「どこで・何を・どう潰すか」を段階別に整理します。
省エネ適判における指摘事項の全体像

引用:省エネ適合性判定とは?|環境・省エネルギー計算センター
指摘事項が発生する3つの段階
省エネ適判では、以下の3つの段階で指摘事項が発生する可能性があります。
1. 受付段階
- 申請書類の不備・記載漏れ
- 必要図書の欠落
- 様式の誤り
2. 審査段階
- 省エネ計算の誤り・不整合
- 設計図書と計算書の矛盾
- 基準不適合
3. 完了検査段階
- 設計内容と施工内容の不一致
- 軽微変更手続きの不備
- 工事監理報告書の不備
指摘事項の発生率と影響
実務感としては、形式不備(受付)よりも「計算・図書不整合(審査)」での指摘が多く、さらに“変更手続きの不足”が完了検査で致命傷になりやすいのが特徴です。審査段階での指摘が最も多く、設計スケジュールへの影響も大きいため、事前の十分な確認が重要です。
【受付段階】申請書類の指摘事項と対策
受付段階での指摘事項は、申請書類の形式的な不備によるものがほとんどです。事前チェックで防げる項目ばかりなので、確実に対応しましょう。
指摘事例1:申請書の記載不備
よくある指摘内容
- 建築主が法人の場合、代表者氏名の記載がない
- 設計者欄に省エネ図書作成者以外が記載されている
- 建物名称(物件名)の記載がない
- 押印が漏れている
具体例
申請書第一面の「建築主」欄について、法人名のみの記載で、代表者氏名が記載されていません。代表者氏名を追記してください。
対策
- 法人の場合は必ず「代表取締役 ○○○○」まで記載
- 設計者欄は意匠図作成者を代表として記載
- 省エネ計算担当者が別の場合は「その他設計者」欄に記載
- 構造設計者など省エネ図書作成に関与していない設計者は記載しない
指摘事例2:必要図書の欠落・不足
よくある指摘内容
- 断熱範囲図が添付されていない(2025年4月以降、省エネ適判では提出を求められるケースが増加/原則提出を求められる運用が一般的)
- 設備機器の仕様書が添付されていない
- 確認申請図書一式が添付されていない
- 委任状の添付がない(代理申請の場合)
具体例
2025年4月以降、断熱範囲図の提出を求められるケースが増えており、判定機関によっては原則提出の運用が一般的です。断熱材の種類、熱性能、施工部位を明示した断熱範囲図を追加提出してください。
対策
- 申請前チェックリストの活用
- 判定機関ごとの提出図書一覧を確認
- 断熱範囲図は省エネ計算書と整合を取りながら作成
- 電子申請の場合もPDF化した意匠図一式を必ず添付
指摘事例3:様式の誤り
よくある指摘内容
- 旧様式(2024年度版以前)を使用している
- 判定機関指定の様式と異なる様式を使用
- Excel申請書のマクロエラー
具体例
提出された申請書は旧様式(2024年度版)です。2025年4月以降の申請は2025年度版様式を使用してください。
対策
- 判定機関のウェブサイトから最新様式をダウンロード
- 申請直前に様式のバージョンを再確認
- Excelマクロが正常に動作するか事前確認
【審査段階】省エネ計算の指摘事項と対策
審査段階での指摘は、省エネ計算の誤りや設計図書との不整合によるものです。対応に時間がかかるため、設計スケジュールへの影響が大きくなります。
指摘事例4:外皮性能計算の誤り(住宅)
よくある指摘内容
- UA値(外皮平均熱貫流率)の計算ミス
- 外皮面積の算出誤り
- 方位の設定誤り
- 断熱材の熱貫流率(U値)が仕様書と不一致
具体例
計算書では断熱材をグラスウール16K 100mmとしていますが、仕様書ではグラスウール24K 85mmとなっています。どちらが正しいか確認し、計算書または仕様書を修正してください。
発生原因
- 計算担当者と設計担当者の情報共有不足
- 設計変更後の計算書更新漏れ
- 外皮面積の手計算ミス
対策
- 設計初期からの連携:断熱仕様を設計初期段階で確定。変更があった場合は即座に計算担当者へ連絡
- ダブルチェック体制:外皮面積は複数人で確認。CADソフトの面積自動算出機能を活用
- 図面と計算書の照合:申請前に断熱範囲図と計算書を突き合わせ。方位、開口部位置、断熱材仕様の一致を確認
指摘事例5:一次エネルギー消費量計算の誤り

引用:省エネ基準の概要|国土交通省
よくある指摘内容
- 設備機器の型番・性能値が図面と不一致
- 照明器具の消費電力が実際の仕様と異なる
- 給湯設備の評価漏れ
- 太陽光発電の自家消費率の設定誤り
具体例
計算書では全居室の照明をLED(消費電力40W/台)としていますが、照明器具表ではリビングのみ60W/台のLEDとなっています。実際の仕様に合わせて計算書を修正してください。
発生原因
- 設備図が最新版に更新されていない
- 照明器具の選定が計算後に変更された
- 設備設計者との連携不足
対策
- 設備仕様の早期確定:省エネ計算前に主要設備機器を決定。仕様変更があった場合は必ず計算担当者へ連絡
- 設備図との整合確認:空調機器の能力・台数。給湯設備の種類・効率。照明器具の消費電力・台数。換気設備の風量・消費電力
- 型番リストの作成:主要設備機器の型番一覧表を作成。カタログ値と計算入力値の照合
指摘事例6:BEI値が基準値を超過(不適合)
よくある指摘内容
- BEI値が1.0を超えて基準不適合
- モデル建物法で計算したら基準超過
- 2026年4月以降の強化基準(BEI ≦ 0.75〜0.85)に不適合
具体例
計算結果がBEI = 1.05となり、省エネ基準(BEI ≦ 1.0)に適合していません。
設備性能の向上または計算方法の見直しが必要です。
発生原因
- 設計段階での省エネ性能検討不足
- 安価な設備機器の採用により性能不足
- モデル建物法による安全側評価
対策
- 設計初期段階でのBEI目標設定:基本設計時に目標BEI値を設定(例:BEI ≦ 0.9)余裕を持った目標設定で計画変更に対応
- 設備性能の向上:LED照明の全面採用。高効率空調設備(COP値の高い機器)。高効率給湯設備。人感センサー、明るさセンサーの導入
- 計算方法の見直し:モデル建物法でNG →標準入力法に変更。より精緻な計算で有利な結果を得る
指摘事例7:地域区分の設定誤り
よくある指摘内容
- 物件所在地の地域区分が誤っている
- 市町村合併により地域区分が変更されたが旧区分で計算
具体例
計算書では地域区分「5地域」となっていますが、物件所在地(東京都23区)は「6地域」です。地域区分を修正して再計算してください。
対策
- 国土交通省「地域区分マップ」で必ず確認
- 市町村合併の履歴がある場合は特に注意
- 判定機関へ事前確認
【審査段階】設計図書の指摘事項と対策
省エネ計算書と設計図書の不整合は、審査段階で最も多い指摘事項の一つです。
指摘事例8:断熱範囲図の不備
よくある指摘内容
- 断熱材の種類・性能が記載されていない
- 施工部位が不明確
- 方位別・断熱材仕様別の外皮面積が不明
- 計算書と断熱範囲図の断熱材仕様が不一致
具体例
断熱範囲図に断熱材の熱性能(熱伝導率または熱抵抗値)の記載がありません。各部位の断熱材性能を明示してください。
対策
- 断熱範囲図の必須記載事項:断熱材の種類(グラスウール、硬質ウレタンフォームなど)。断熱材の性能(熱伝導率λまたは熱抵抗値R)。断熱材の厚さ。施工部位(外壁、屋根、床、基礎等)。方位
- 計算書との整合確認:計算書の「外皮仕様一覧」と断熱範囲図を突き合わせ。部位ごとに断熱仕様が一致しているか確認
指摘事例9:設備機器仕様の不整合
よくある指摘内容
- 計算書の設備機器と設備図の機器が異なる
- 機器台数が不一致
- カタログ値と計算入力値が異なる
具体例
計算書では空調機器を「ルームエアコン COP 5.8」としていますが、設備図では「ルームエアコン COP 4.5」となっています。どちらが正しいか確認し、修正してください。
対策
- 設備図の最新化:省エネ計算後の設備機器変更を必ず計算担当者へ連絡。確認申請直前に設備図と計算書を最終確認
- 設備機器リストの作成:計算対象となる全設備機器のリストを作成。型番、性能値、台数を一覧化。設備図と計算書の照合に活用
指摘事例10:完了検査を見据えた申請内容の誤り
よくある指摘内容
- 非居室の照明を「設置なし」として計算したが、実際には設置予定
- ユニットバス・洗面台付属の照明を評価対象外としたが設置予定
- 計画変更が必要な内容を軽微変更として処理
具体例【完了検査時の指摘】
省エネ適判では非居室(浴室、洗面所、トイレ)の照明を「設置なし」として計算されていますが、現場ではユニットバス・洗面化粧台に照明が設置されています。計画変更または軽微変更の手続きが必要です。
発生原因
- 省エネ適判時に設備仕様が未確定
- 完了検査時の確認項目を理解していない
- 「設置なし」で申請すればBEI値が有利になると誤解
対策
- 実態に即した申請:設置予定の設備は必ず計算に含める。不明な場合は一般的な仕様で計算
- 完了検査時の確認項目を理解:省エネ適判で申請した設備は完了検査時に設置が必須。設置しない場合は事前に変更手続きが必要
- 施工者との情報共有:省エネ適判申請内容を施工者へ共有。計算対象設備のリストを作成・配布
【完了検査段階】施工の指摘事項と対策
完了検査では、省エネ適判で申請した内容が実際に施工されているかが確認されます。不一致があると検査済証が交付されず、引き渡しが遅れる重大な事態となります。
指摘事例11:断熱材の施工不良・不一致
よくある指摘内容
- 断熱材の種類・厚さが申請と異なる
- 断熱材の施工部位が申請と異なる
- 断熱材の施工不良(隙間、圧縮など)
具体例【完了検査時の指摘】
省エネ適判では外壁断熱材を「グラスウール16K 100mm」としていますが、現場施工は「グラスウール16K 85mm」となっています。計画変更手続きまたは断熱材の施工し直しが必要です。
対策
- 施工図への明記:省エネ適判申請内容を施工図に反映。断熱材の種類・厚さ・施工部位を明確に記載
- 施工時の品質管理:断熱材施工前に仕様を再確認。施工状況を写真記録。省エネ基準工事監理報告書の作成
- 中間検査の活用:断熱材施工完了後、壁を閉じる前に確認。不備があれば早期に是正
指摘事例12:設備機器の変更
よくある指摘内容
- 空調機器の型番・能力が申請と異なる
- 照明器具の消費電力が申請と異なる
- 給湯設備の種類が変更されている
具体例【完了検査時の指摘】
省エネ適判では給湯設備を「エコキュート(COP 3.0)」としていますが、現場ではガス給湯器が設置されています。計画変更手続きが必要です。また、BEI値が基準超過となる可能性があります。
対策
- 設備機器変更時の即座の対応:施工中に設備機器を変更する場合は、工事監理者へ即座に報告。省エネ計算担当者へ変更内容を連絡し、BEI値への影響を確認
- 軽微変更または計画変更の判断:軽微変更ルートA・Bに該当するか判断。該当しない場合は計画変更申請
- 完了検査1ヶ月前の事前確認:判定機関へ事前相談。変更内容の整理と手続き準備
指摘事例13:軽微変更手続きの不備
よくある指摘内容
- 軽微変更説明書が添付されていない
- 軽微変更ルートA・Bに該当しない変更を軽微変更として処理
- 軽微変更の記載内容が不十分
具体例【完了検査時の指摘】
照明器具の変更について軽微変更説明書が添付されていますが、消費電力が10%を超えて増加しており、軽微変更ルートBに該当しません。計画変更申請が必要です。
※ルートBは、変更前の省エネ性能が一定以上確保されていること等の前提条件があるため、変更内容だけでなく“変更前の判定結果”も含めて該当性を判断します。
軽微変更のルート
| ルート | 内容 | 具体例 |
| ルートA | 省エネ性能が向上する内容 | 高効率設備への変更、断熱性向上 |
| ルートB | 一定範囲内の性能低下 | 照明消費電力10%以内の増加、BEI ≦ 0.9の場合の一定範囲内での性能低下 |
| ルートC | 再計算により基準適合が明らかな変更 | 用途変更、モデル建物の変更、評価方法の変更 |
対策
- 変更内容の正確な把握:どの設備がどのように変更されたか明確化。性能値の増減を数値で確認
- 軽微変更該当性の判断:ルートA・B・Cのいずれに該当するか判断。不明な場合は判定機関へ事前相談
- 軽微変更説明書の適切な作成:変更内容を具体的に記載。該当ルートを明記。必要に応じて再計算結果を添付
指摘事項を防ぐための5つの実務ポイント
ポイント1:設計初期からの省エネ性能検討
省エネ適判の指摘を防ぐ最も効果的な方法は、設計初期段階から省エネ性能を意識することです。
具体的な取り組み
- 基本設計時に目標BEI値・UA値を設定
- 外皮仕様・設備システムの概略決定
- 余裕を持った性能目標(例:BEI ≦ 0.9)
ポイント2:設計チーム内の情報共有体制
意匠・構造・設備・省エネ計算担当者間の連携不足が、多くの指摘事項の原因です。
情報共有の仕組み
- 週次の定例ミーティング
- 変更事項の即座の共有(メール・チャット)
- 共有フォルダでの最新図面管理
- 変更履歴の記録
ポイント3:申請前のダブルチェック体制
社内でのダブルチェックにより、多くの指摘事項を事前に防げます。
チェック項目
- 申請書の記載内容(建築主名、設計者名など)
- 必要図書の添付漏れ
- 計算書と設計図書の整合性
- 断熱範囲図と計算書の一致
- 設備機器リストと設備図の一致
ポイント4:判定機関との事前相談の活用
多くの判定機関では、正式申請前の事前相談を受け付けています。
事前相談で確認すべき内容
- 特殊な仕様の評価可否
- 必要図書の具体的な内容
- 計算方法の選択
- 変更内容の軽微変更該当性
ポイント5:完了検査を見据えた申請
省エネ適判申請時から完了検査を意識することで、完了検査時の指摘を防げます。
完了検査を見据えた対応
- 実態に即した申請(設置予定の設備は必ず計算に含める)
- 施工者への申請内容の共有
- 省エネ基準工事監理報告書の作成準備
- 変更発生時の早期対応
よくある質問(Q&A)
Q1. 指摘事項が出た場合、どのくらいの期間がかかりますか?
A.指摘内容により異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
軽微な指摘(記載ミス、図面追加など)
- 対応期間:3〜5日
- 再審査期間:3〜5日
- 合計:約1週間
計算の修正を伴う指摘
- 修正計算:3〜7日
- 再審査期間:1〜2週間
- 合計:2〜3週間
基準不適合による設計変更
- 設計変更:1〜2週間
- 再計算:1週間
- 再審査期間:2〜3週間
- 合計:1〜1.5ヶ月
スケジュールに余裕を持たせ、指摘事項への対応期間を見込んでおくことが重要です。
Q2. 完了検査で不適合となった場合、どうなりますか?
A.完了検査で省エネ適判申請内容との不一致が見つかった場合、原則として検査済証の交付が得られず、引渡し・使用開始に影響します(是正・手続き完了後に再検査等が必要)。
対応方法
- 計画変更または軽微変更の手続きを実施
- 変更後のBEI値が基準適合であることを確認
- 手続き完了後、再度完了検査を受検
所要期間
- 軽微変更:1〜2週間
- 計画変更:2〜4週間
引き渡し日が遅れ、施主への違約金発生のリスクもあるため、完了検査前の事前確認が非常に重要です。
Q3. 省エネ計算を外部委託している場合、指摘事項への対応はどうすればよいですか?
A.外部委託の場合、契約内容により対応が異なります。
一般的な対応フロー
- 判定機関からの指摘内容を委託先へ転送
- 委託先で対応方法を検討・修正
- 修正内容を確認し、再提出
委託契約時の確認事項
- 指摘事項への対応費用(無料 or 有料)
- 対応期間の目安
- 連絡体制(担当者、営業時間)
トラブル防止のポイント
- 設計変更は即座に委託先へ連絡
- 図面の最新版を常に共有
- 指摘事項発生時の対応範囲を契約書で明確化
Q4. 2026年4月のBEI基準強化で、指摘事項は増えますか?
A.はい、2026年4月1日以降に省エネ適判を申請する中規模非住宅(延床300㎡以上2000㎡未満)は、用途別に省エネ基準が引き上げられます(基準値は用途により異なる)。
そのため、基準不適合や計算条件の見直しに関する指摘が増える可能性があります。
予想される指摘
- BEI値が新基準(0.75〜0.85)を超過
- モデル建物法では新基準クリアが困難
- 設備性能の大幅な向上が必要
対策
- 2026年4月以降のプロジェクトは、設計初期段階から新基準を前提に計画
- 高効率設備の標準採用
- 標準入力法の活用検討
- 太陽光発電の導入検討
Q5. 指摘事項を受けないために、最も重要なことは何ですか?
A.「設計初期段階からの省エネ性能検討と設計チーム内の情報共有」が最も重要です。
多くの指摘事項は、以下の問題から発生します。
主な原因
- 省エネ計算が後回しにされ、設計確定後に計算したら基準不適合
- 意匠・設備・計算担当者間の情報共有不足による図面と計算書の不整合
- 設計変更が計算書に反映されない
予防策
- 基本設計段階でBEI・UA値の目標設定
- 設計変更時の即座の情報共有
- 定期的な整合性確認
- 申請前の社内ダブルチェック
「省エネ計算は最後にやればいい」という考えを改め、設計プロセス全体に省エネ性能検討を組み込むことが、指摘事項を防ぐ最大のポイントです。
Q6. 指摘事項が多い判定機関を避けることはできますか?
A.判定機関による審査基準の厳しさの差は基本的にありません。
省エネ適判は法令に基づく審査であり、すべての判定機関が同じ基準で審査します。ただし、以下の点で差が生じることがあります。
判定機関による違い
- 審査期間の長さ(標準2週間〜4週間)
- 指摘内容の詳細さ(具体的 vs 抽象的)
- 事前相談の充実度
- 対応の丁寧さ
判定機関選定のポイント
- 過去の利用実績・評判
- 審査期間の実績
- 事前相談サービスの有無
- 問い合わせ対応の質
判定機関を避けるのではなく、確実な申請内容を準備することが重要です。
まとめ:省エネ適判の指摘事項を防ぎ、スムーズな審査を実現する
省エネ適判における指摘事項は、受付段階・審査段階・完了検査段階の3つの段階で発生し、それぞれ異なる原因と対策があります。2025年4月の義務化拡大、2026年4月の基準強化により、指摘事項への適切な対応はますます重要になっています。
指摘事項を防ぐための3つの鉄則
1. 設計初期段階からの省エネ性能検討
多くの指摘事項は、設計終盤になって省エネ計算を行い、基準不適合や図面との不整合が発覚することで生じます。基本設計段階から目標BEI値・UA値を設定し、外皮仕様・設備システムを概略決定することで、後工程での大きな手戻りを防げます。「省エネ計算は最後」という従来の進め方を改め、設計プロセス全体に省エネ性能検討を組み込みましょう。
2. 設計チーム全体での情報共有と連携強化
意匠・構造・設備・省エネ計算担当者間の情報共有不足が、計算書と設計図書の不整合という最も多い指摘事項の原因です。設計変更が発生した際の即座の情報共有、定期的な整合性確認、共有フォルダでの最新図面管理など、チーム全体での連携体制を構築することが不可欠です。特に外部委託している場合は、委託先との密な連携がより重要になります。
3. 完了検査を見据えた現実的な申請
省エネ適判申請時から完了検査を意識し、実態に即した申請を行うことで、完了検査時の指摘を防げます。設置予定の設備は必ず計算に含める、省エネ適判申請内容を施工者へ確実に共有する、変更発生時は早期に対応するなど、施工段階まで見据えた対応が重要です。完了検査での不適合は引き渡し遅延という重大な事態につながるため、特に注意が必要です。
省エネ適判の指摘事項は、事前の十分な準備と確認により、そのほとんどを防ぐことができます。この記事で解説した実例と対策を参考に、確実な省エネ適判申請を実現し、スムーズなプロジェクト進行を目指しましょう。
省エネ計算をはじめ、省エネ適判や住宅性能評価など、手間のかかる業務は外注し、自社のリソースをコア業務に集中させれば、円滑な計画進行が期待できるのではないでしょうか。
累計3,000棟以上の省エネ計算実績、リピート率93.7%、審査機関との質疑応答まで丸ごと外注できる環境・省エネルギー計算センターにぜひご相談ください。
※専門的な内容となりますので、個人の方は設計事務所や施工会社を通してご依頼をお願いいたします。




