住宅省エネキャンペーンは、住宅の省エネ化を推進する国主導の施策です。2050年に迫るカーボンニュートラル達成に向け、国内のエネルギー消費量のおよそ3割を占める建築物分野での省エネ化をさらに進めるべく始まりました。
キャンペーンは国土交通省、経済産業省及び環境省の3省が連携して実施しており、新築住宅と既存住宅の省エネリフォームが対象です。
本記事は、建築会社や設計会社等に向けて、2026年の住宅省エネキャンペーンの対象や条件、補助金内容、申請方法を詳しく解説します。
住宅省エネ2026キャンペーンの概要

住宅省エネ2026キャンペーンの概要を、新築住宅とリフォームとに分けて解説します。
なお、本キャンペーンで補助金を申請するためには、事前に住宅省エネ支援事業者としての登録を済ませる必要があります。
キャンペーンを利用する可能性がある事業者は、早めに登録を済ませましょう。
住宅省エネ支援事業者の登録は、住宅省エネ2026キャンペーンのホームページより進められます。手続きは「住宅省エネポータル」上で行います。
新築住宅向けの補助金内容
新築住宅は、「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」「給湯省エネ2026事業」の2つの補助金を利用できます。
みらいエコ住宅2026事業は、注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入・賃貸住宅の新築のいずれも対象ですが、住宅が備えるべき要件が指定されています。
| 区分 | 対象者 |
| 注文住宅の新築 | GX志向型住宅:全世帯 長期優良住宅・ZEH水準住宅:子育て世帯 or 若者夫婦世帯 |
| 新築分譲住宅の購入 | |
| 賃貸住宅の新築 | 住宅省エネ支援事業者と工事請負契約を締結し、賃貸住宅を新築するオーナー |
GX志向型住宅とは、ZEHを大きく上回る水準の性能を備えた住宅です。
詳しくは「【2026最新】GX志向型住宅とは?補助金の内容と申請の流れ、注意点を解説」をご覧ください。
賃貸住宅の新築で補助を受けられるのはオーナーです。
戸建賃貸・集合住宅ともに対象ですが、「新築する」場合のみ補助が受けられます。物件を購入して賃貸オーナーになるケースは対象外です。
給湯省エネ2026事業は、指定の高効率給湯器を設置する住宅オーナーが対象です。給湯省エネ事業者に登録された事業者により設置されていれば、購入・リースを問われません。
リフォーム向けの補助金内容
住宅省エネキャンペーンでは、住宅のリフォームも補助金対象となります。
| 補助金名 | 対象者 |
| みらいエコ住宅2026事業 | 住宅省エネ支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする住宅オーナー |
| 給湯省エネ2026事業 | 指定の高効率給湯器を設置する住宅オーナー |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 窓リノベ事業者と工事請負契約を締結し、窓のリフォーム工事をする住宅オーナー |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 賃貸集合給湯省エネ事業者とリフォーム/リース契約を締結し、補助対象の省エネ型給湯器に交換する賃貸集合住宅オーナー |
給湯省エネ2026事業・先進的窓リノベ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業は導入する機器に指定があります。また、事前に住宅省エネ支援事業者の登録を済ませた事業者が施工しなければなりません。
対象機器は、住宅省エネキャンペーンのホームページで確認してください。
住宅のリフォームによる、キッチンや浴室の断熱改修も補助対象となります。2026年度からはエアコンや換気設備も新たに補助対象に加わりました。住宅の省エネ性能を高め、高効率機器に入れ替えるリフォームに対して、補助金が交付されると考えてください。
住宅省エネ2026キャンペーンの補助金額
住宅省エネ2026キャンペーンの補助金額をまとめています。
また、補助金対象か否かを判断するポイントも添えております。
【新築】みらいエコ住宅2026事業の補助金一覧
新築住宅が利用できるみらいエコ住宅2026事業の補助金の額は、以下の通りです。寒冷地等(建築物省エネ法に基づく区分に該当する地域)は括弧内の金額が適用されます。
| 対象住宅 | 補助金額(1戸あたり) |
| GX志向型住宅 | 110万円(寒冷地等は125万円) |
| 長期優良住宅 | 75万円(寒冷地等は80万円)※古家撤去新築の場合95万円(寒冷地100万円) |
| ZEH水準住宅 | 35万円(寒冷地等は40万円)※古家撤去新築の場合55万円(寒冷地60万円) |
子育てグリーン住宅支援事業(2025年度)では、GX志向型住宅に160万円/戸、長期優良住宅に80万円/戸、ZEH水準住宅に40万円/戸が交付されていました。
今回のみらいエコ住宅2026事業では、新築の補助金額は全体的に減額されています。一方で、寒冷地等への上乗せや古家撤去新築への加算が新設されました。前制度との違いを正しく踏まえ、顧客への説明に活用してください。
【リフォーム】みらいエコ住宅2026事業の補助金一覧
みらいエコ住宅2026事業はリフォームにも利用できます。2026年度からは、既存住宅の断熱性能の現状と、リフォーム後に達成する基準のレベルに応じて補助金上限額が4段階に設定されています。工事内容を以下にまとめました。
(必須工事)
★開口部の断熱改修
★躯体の断熱改修(外壁・屋根・天井・床)
★エコ住宅設備の設置
(任意工事)
☆子育て対応改修
☆防犯性向上改修
☆バリアフリー改修
☆空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
☆エアコンの設置(省エネ基準適合品)
☆換気設備の設置
☆リフォーム瑕疵保険等への加入
補助額は以下のとおりで、合計補助額が5万円以上の場合に限ります。
| 既存住宅の基準と達成レベル | 補助金額上限(1戸あたり) |
| 平成4年基準を満たす住宅 → 平成28年基準達成 | 100万円 |
| 平成4年基準を満たす住宅 → 平成11年基準達成 | 50万円 |
| 平成11年基準を満たさない住宅 → 平成28年基準達成 | 60万円 |
| 平成11年基準を満たさない住宅 → 平成11年基準達成 | 40万円 |
【新築・リフォーム】給湯省エネ2026事業の補助金一覧
給湯省エネ2026事業の補助金は、基本額と性能加算額、撤去加算額の3段階で金額が決まります。
<基本額>
| 設置機器 | 補助金額(1台あたり) | 補助対象上限 |
| ヒートポンプ給湯機(エコキュート) | 7万円 | 戸建住宅:いずれか2台まで 共同住宅等:いずれか1台まで |
| 電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機) | 10万円 | |
| 家庭用燃料電池(エネファーム) | 17万円 |
<性能加算額>
性能加算要件を満たす機器には、エコキュートで3万円/台、ハイブリッド給湯機で2万円/台が加算されます。なお、エネファームには性能加算はありません。2025年度のA〜Cランク制度から簡素化されました。
また、2026年度からは基本要件として「天気予報連動機能」と「無線LAN対応」が必須となっています。
<撤去加算額>
電気蓄熱暖房機の撤去は4万円/台(上限2台まで)、電気温水器の撤去は2万円/台(給湯器導入により補助を受ける台数まで)が加算されます。なお、エコキュートの撤去は加算対象外です。本加算措置は予算額36億円を目途に実施され、予算額に達し次第終了予定です。
【リフォーム】先進的窓リノベ2026事業の補助金一覧
先進的窓リノベ2026事業は、1戸あたり100万円を上限とし、開口部のリフォーム工事費用を補助します。2025年度の事業では上限額200万円でしたが、2026年度は100万円に半減しています。
一方で、2026年度からは住宅に加え、第1種・第2種低層住居専用地域に立地する一部の非住宅建築物も新たに対象となりました(1棟あたり上限1,000万円)。また、特大サイズ(窓4.0㎡以上・ガラス2.0㎡以上)の補助額が新設されています。
対象となる工事は、以下の4種類です。
- ガラス交換
- 内窓設置(Sグレード以上が対象。Aグレードは対象外に変更)
- 外窓交換(カバー工法/はつり工法)
- ドア交換(カバー工法/はつり工法)
同じ住宅に複数回工事を行う場合も、都度補助要件を満たせば上限額の範囲内で申請できます。
【リフォーム】賃貸集合給湯省エネ2026事業
賃貸集合給湯省エネ2026事業は、要件を満たす「集合住宅の給湯器入れ替え」が対象です。
<基本額>
| 設置機器 | 追い焚き機能 | 補助額(1台あたり) | 補助対象上限 |
| 小型の省エネ型給湯器 (エコジョーズ/エコフィール) |
あり | 5万円 | いずれか1住戸1台まで |
| なし | 7万円 |
<加算額>
以下の工事を実施すると、台数に応じて補助金が加算されます。
| 追い焚き機能 | 工事内容 | 加算額 |
| あり | 共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事 | 3万円 |
| なし | 浴室へのドレン水排水工事 |
なお、賃貸集合給湯省エネ2026事業は、みらいエコ住宅2026事業と併用できます。
ただし、同一機器に対し両事業から補助を受けることはできません。
また、2025年度に賃貸集合給湯省エネ2025事業の補助金交付を受けた給湯器は、2026年度の補助金は受給できない点に注意してください。
住宅省エネ2026キャンペーンの交付申請方法
住宅省エネ2026キャンペーンの交付申請は、事業によって受付開始時期が異なります。
補助金交付対象となる期間は、以下の通りです。
| 補助金名 | 住宅種別 | スケジュール |
| みらいエコ住宅2026事業 | 新築(GX志向型・長期優良・ZEH水準) | 対象工事着手日:2025年11月28日以降交付申請:2026年3月31日〜受付開始(第1期:〜5月12日 / 第2期:5月13日〜12月31日)※ZEH水準注文住宅の第2期は9月30日まで |
| リフォーム | 対象工事着手日:2025年11月28日以降交付申請:第2期(2026年5月13日以降)から受付開始 | |
| 先進的窓リノベ2026事業給湯省エネ2026事業 | 2025年11月28日以降の着工が対象交付申請:2026年3月31日〜受付開始済み予算上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで) |
補助金交付の手続きは、補助金共通で以下のとおりです。
- 住宅省エネ支援事業者の登録を済ませる
- 交付申請予約をし、予算を確保する
- 補助金の交付を申請する
- 補助金の交付が決定し、振り込まれる
申請(予約を含む)の総額が予算に達した時点で受付終了となります。申請可能期間の前から、予約という形で補助金の予算を確保可能なため、早めに予約を進めておくと良いでしょう。予約有効期間は、予約から3か月間/2027年3月31日の、いずれか早い日までです。
予約作業は、2026年11月16日まで可能です。
他の補助金の交付手続きについては、住宅省エネ2026キャンペーンの公式ページでご確認ください。
住宅省エネキャンペーン補助金申請に必要な書類
2026年住宅省エネキャンペーンの補助金申請に必要な書類は、補助金や要件によって異なります。また、様式が変更になる可能性もあるようです。
詳細は、住宅省エネキャンペーンの公式ホームページからチェックができます。抜け漏れのない準備が円滑な申請を実現します。
住宅省エネ2026キャンペーンに関してよくある質問(FAQ)
住宅省エネキャンペーンは政府が肝入りで進める事業です。
制度の規模も大きく、要件も多岐にわたるため、正しい理解が欠かせません。
住宅省エネ2026キャンペーンについて、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
Q. 住宅省エネキャンペーンと補助金の違いとは?
A:制度を指すか、お金を指すかが違います
「住宅省エネキャンペーン」は今回の制度の全体を指します。
一方、補助金は交付される“お金”です。
補助金を含めた制度の全体設計がキャンペーンだと考えてください。
また、補助金の申請は建築主や購入者、賃貸オーナーにかわって、施工会社・販売会社が行います。補助金もいったんは施工会社や販売会社に交付されます。
施工会社・販売会社は、交付された補助金をどのように建築主・購入者・賃貸オーナーに還元するか、決めておく必要があります。
Q. 補助金制度の併用は可能?
A:併用可能な補助金と、併用できない補助金があります
補助金の併用可否は以下をご覧ください。
◎ みらいエコ住宅2026事業(新築)・給湯省エネ2026事業
1つの住宅に対して、国庫から支出される他の補助金との併用は不可
地方自治体の独自財源による補助金は、併用可
◎先進的窓リノベ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業
みらいエコ住宅2026事業と併用可
ただし、同一の開口部・設備が重複して補助を受けることはできない。
また、1つの開口部・設備に対して、国庫から支出される他の補助金との併用は不可
地方自治体の独自財源による補助金は、併用可
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)は、先進的窓リノベ2026事業・給湯省エネ2026事業との併用が可能です。窓の断熱改修・高効率給湯器の入替えを同時に行う場合、3事業の補助を組み合わせて活用できます。
要件が細かく、判断に困った場合は、管轄の自治体窓口にご相談ください。
Q.ZEHやGX志向型住宅、長期優良住宅と補助金の関係性は?
A:みらいエコ住宅2026事業にて、扱いが異なります
本年度の住宅省エネキャンペーンでは、GX志向型住宅と長期優良住宅・ZEH水準住宅を区別して扱います。省エネ性能と補助金額を比例させ、高性能住宅の普及を図りたいという政府の狙いがあるためです。
補助金は、GX志向型住宅で110万円/戸(寒冷地等は125万円)と最も高額となり、長期優良住宅が75万円/戸(寒冷地等は80万円)、ZEH水準住宅が35万円/戸(寒冷地等は40万円)です。
顧客が住宅に搭載する性能に迷っていたら、補助金額を示しながら、性能の違いを解説するなど、丁寧な対応を進めると良いでしょう。
まとめ
2026年の住宅省エネキャンペーンは、4事業構成を維持しつつ、制度内容が大幅に見直されています。新築補助金は全体的に減額傾向にある一方、リフォーム補助金は最大100万円/戸に拡充され、エアコンや換気設備の追加など対象工事も拡大しました。
これらは主に住宅取得者向けの制度ですが、国や自治体は、事業者向けのZEB補助金や、より高性能なLCCM住宅補助金など、他にも様々な支援制度を用意しています。
どのような補助金があるのか、より網羅的な一覧で比較検討したい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
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