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CASBEE不動産とは?目的や評価項目、計算方法、メリットを解説

省エネ性能の高い建築物に関する制度は数多くあります。

今回紹介するCASBEE不動産もその1つですが、CASBEE不動産は既存建築物の環境性能を多角的に評価する制度である、という特徴があります。

本記事では、CASBEE不動産の概要や基本知識から、具体的な評価項目、メリット、申請方法などを解説します。

CASBEEとは

CASBEE(キャスビー・建築環境総合性能評価システム)は、建物や街区などの環境品質と室内の快適性、景観への配慮などを総合的に評価するシステムです。住宅系・建築系・街区系・都市系の4カテゴリがあり、それぞれがさらに細かく分類されています。

今回紹介するCASBEE不動産は、CASBEE建築系の一種です。

CASBEEの概要|一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター

 

CASBEE不動産とは

はじめにCASBEE不動産の全体像を解説します。

制度の目的や評価内容の詳細を確認しましょう。

CASBEE不動産の目的

CASBEE不動産は、CASBEE評価の結果を、不動産マーケットにおける不動産評価に活用することを目的とします。建築物の環境性能を客観的に評価して価値を高め、不動産市場に環境負荷の少ない建築物を普及促進させる狙いがあります。

市場で積極的に活用されるよう、国際的な評価項目を網羅しつつも、極力シンプルな構成でつくられています。

CASBEE不動産の評価対象

CASBEE不動産は既存建築物が評価対象です。利用できる建築物は、オフィスビルや店舗などで、竣工から1年以上が経過している必要があります。

1年以上の建築物運用実績データがなければ、CASBEE不動産評価はできません。

CASBEE不動産の評価ランク

CASBEE不動産は、S・A・B+・Bの4段階で評価されます。各ランクはCASBEE建築(新築)の評価ランクと、おおむね合致するようつくられています。

Bランクでも、環境性能の必須項目を満たしているとの評価を得られます。建築物の種別や用途によって、取得すべきランクを決定する必要があります。

CASBEE-不動産|一般社団法人環境不動産普及促進機構

 

CASBEE不動産の評価項目

ここからは、CASBEE不動産の評価項目を具体的に解説します。

CASBEE不動産評価項目のポイント

CASBEE不動産の評価項目は、5ジャンルに分かれます。

  • エネルギー/温暖化ガス
  • 資源利用/安全
  • 生物多様性/敷地
  • 屋内環境

それぞれのジャンルは、必須項目と加点項目の2段階構成です。

評価項目はBREEAMやLEEDなど、世界の環境性能評価の項目も踏まえています。BREEAMは英国で始まった世界初の環境価値評価システムで、LEEDは米国基準の環境評価システムです。

評価項目(1) エネルギー/温暖化ガス

エネルギー/温暖化ガスジャンルの必須項目は、4つあります。

  • 省エネ基準のクリア
  • エネルギー消費量の目標設定
  • モニタリングの実施
  • 運用管理体制の構築

省エネ基準は、建築時点での省エネ基準(建築物省エネ法)をクリアしていれば良いとされます。また、建築物が消費するエネルギーを年間でモニタリングし、消費原単位などと比較検証する必要もあります。建築物オーナーと、入居者・テナント等が協力してエネルギー削減に取り組むと、加点評価(1点)となります。

また、エネルギー/温暖化ガスの加点項目は以下のとおりです。

  • エネルギー使用・排出原単位(計算値)
  • エネルギー使用・排出原単位(実績値)
  • 自然エネルギー(太陽光発電他)

合計 35点

評価項目(2) 水

水ジャンルの必須項目は、水使用量の目標設定とモニタリングの実施です。

◎ 水使用量の目標設定

水使用量の実績値があり、次年度の目標値(L/m2・年)を定めている

◎ モニタリング

建築物内での水使用量を年間で把握し、使用原単位などを用いベンチマークと比較する

加点項目は水の使用量(計算値・実績値)です。オフィスと店舗は計算値で評価され、物流施設は仕様評価が用いられます。なお実績値が求められるのはオフィス・店舗のみです。合計10点が加点されます。

評価項目(3) 資源利用/安全

資源利用/安全ジャンルの必須項目は、3つあります。

  • 新耐震基準に適合
  • 構造耐震指標 Is 値≧0.6
  • 倒壊危険度指標 If 値≦1.0

この3つはすべて満たしていなければなりません。

さらに加点項目には以下が挙げられています。

  1. 高耐震、免震等
  2. 再生材の利用率、廃棄物処理負荷抑制
  3. 躯体材料の耐用年数
  4. 主要設備機能の更新間隔、設備の持久力・維持管理レベル など

加点項目を全て満たすと、20点が加算されます。

評価項目(4) 生物多様性/敷地

生物多様性/敷地のジャンルの必須項目は以下です。

それぞれに対して、建築物で未導入の対策については実施が必須です。

  • 外来生物法の特定外来生物
  • 外来生物法の未判定外来生物
  • 要注意外来生物

また、生物多様性や土壌環境品質の向上に寄与する取り組み、公共交通機関との接近性、自然災害リスクへの対策が講じられると加点対象となり、満点で20点が上乗せされます。

評価項目(5) 屋内環境

屋内環境ジャンルでは建築物環境衛生管理基準を満たす必要があります。

延床面積が3,000m2以上の特定建築物は、建築物環境衛生管理基準による評価が困難なため、衛生管理に関する質問票への回答に基づき評価されます。

昼光や自然光、自然換気機能の積極的な利用や、眺望などは加点項目となります。

満点で15点が加算されます。

 

CASBEE不動産の計算ツールと計算方法

CASBEE不動産は、専用のツールで計算し、評価を得ます。

計算ツールと計算方法の要点を解説します。

CASBEE不動産の項目別満点

まず、CASBEE不動産の項目別配点を把握しておきましょう。

CASBEE不動産は100点満点で、内訳は以下のとおりです。

 

持続可能な敷地 20点
節水 10点
エネルギー、温室効果ガス 35点
資源利用、安全 20点
室内環境品質 15点

 

LEEDやBREEAMといった海外の評価ツールで採用されている「マネジメント」「革新性」「地域性」という項目は、CASBEE不動産では対象外です。

CASBEE不動産の計算ツール

CASBEE不動産の計算ツールは、日本サスティナブル建築協会のホームページよりエクセルファイルをダウンロードし、使用します。オフィス、店舗、物流、ホテル、集合住宅など、建築物の用途別にシートが用意されており、項目の指示に従って数値を入力します。

CASBEE不動産の評価者

CASBEE不動産は、誰でも評価できるわけではない点に注意が必要です。CASBEE不動産を評価できるのは、事前にCASBEE不動産評価員に登録した設計者です。CASBEE不動産評価員になるためには、「CASBEE不動産評価員講習」の受講と、「CASBEE不動産評価員試験」への合格が必須です。

CASBEE不動産評価員が評価した結果は、認証機関によってあらためて確認され、認定となります。

 

CASBEE不動産の認証を得るメリット

CASBEE不動産の認証取得で期待できるメリットを3つ解説します。

不動産投資家への訴求材料になる

CASBEE不動産は、建築物の環境性能を示す客観的な指標として利用されています。制度自体が市場での活用を目指していることもあり、不動産投資家から見ても建築物の性能や価値を評価しやすいといわれています。

CASBEE不動産取得は不動産投資家へのアピール材料となり、不動産投資の活性化が見込まれるでしょう。

GRESBの加点項目となる

GRESBは、不動産会社やファンド単位で環境性能を測定・評価するシステムです。

GRESBの評価項目には、保有する物件の環境認証の有無があります。CASBEE不動産は、その評価項目の認定対象です。

建築物ごとに評価するCASBEE不動産と異なり、GRESBは環境配慮を組織全体で実践しているとみなされます。不動産投資家に対して、より好印象を与えられるでしょう。

建築物の環境性能向上施策の根拠となる

CASBEE不動産では、エネルギーや水の使用料を測定し、ベンチマークした値と比較評価する工程があります。CASBEE不動産の評価を利用すれば、建築物の省エネ性能やランニングコストを客観的に分析でき、環境性能を向上させるヒントが見つかる可能性があります。

 

CASBEE不動産の申請方法

CASBEE不動産の申請手続きは非常に煩雑です。通常は、計算から申請、取得までを代行企業に外注します。

外注した場合の流れは、以下のとおりです。

  • 外注先に問い合わせ、見積もりをもらう
  • 申請に必要な資料を送付する
  • 外注先がスクリーニングと評価・申請書作成を実施する
  • 外注先が、CASBEE不動産評価認証機関に提出し、評価認証をえる
  • 認証書が交付される

 

CASBEE不動産の申請外注先の選び方

CASBEE不動産の評価認証を外注する企業を選ぶポイントは、3つあります。

  • 必要な業務をワンストップで依頼できる
  • 費用は明瞭で、信頼できる
  • 親身な対応、豊富な実績

申請を円滑に進めるためには、すべての手続きをワンストップで依頼できることが重要です。また、費用が明瞭で適正か、追加費用はどこから発生するかも明確にしておきましょう。

申請実績が豊富な企業もおすすめです。依頼者側の言いたいことを汲み取り、先回りして提案してもらえる可能性があります。

 

まとめ

CASBEE不動産は、建築物の環境性能を点数によって可視化する制度です。不動産市場で利用されており、環境に配慮した建築物が評価され、普及促進することを目指しています。

CASBEE不動産の取得には、多岐にわたる指標をクリアする必要があります。既存建築物が制度対象であり、取得のためのスクリーニングで、建築物の運用状況を再確認する機会にもなるでしょう。

 

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