CASBEE広島は、建築物の環境性能を評価して格付けするツール「CASBEE」の自治体版です。
広島県では、建築物について環境への取り組みを促し、環境に配慮した建築物を普及させることを目的としてCASBEE広島が導入されています。
CASBEE広島には、地域特性を踏まえて独自に追加された評価項目などがあり評価方法が複雑です。
この記事では、CASBEE広島の届出期日や評価の仕組みについて詳しく解説します。
CASBEE広島についてお調べの方は、ぜひ参考にしてください。
CASBEE(キャスビー)とは
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は、建築物の環境性能を総合的に評価するためのツールです。
CASBEEでは、環境負荷の少ない資機材の使用や省エネルギー対策といった環境への配慮だけでなく、室内の快適性や景観への配慮なども評価します。
一部の地方自治体では届出制度としての活用が進んでおり、CASBEE広島も地方自治体が運用するCASBEEの1つです。
以下で、CASBEE広島について詳しく解説します。
CASBEE広島とは
CASBEE広島(広島市建築環境総合性能評価システム)は、CASBEE建築(新築)をベースとして広島市の条例や要綱などに沿った項目が追加された評価方法です。
CASBEE広島は2010年に施行されてから、2021年3月末までに700件以上の届出が提出されています。
CASBEE広島の対象建築物
CASBEE広島の届出対象となる建築物は、床面積の合計が2,000㎡以上の建築物(新築、増築または改築)です。
※増築または改築の場合は、増築または改築に係る床面積の合計が2,000㎡以上
ただし、床面積が2,000㎡未満の場合でも任意で届け出ることができます。
CASBEE広島の届出期日
対象建築物の工事を行う建築主は、着工予定日の21日前までに建築物環境計画書を提出する必要があります。
建築物環境計画書は、CASBEE広島の評価結果を添えて提出をします。
また、建築物環境計画書に記載した事項を変更する場合は、変更に関わる工事の着工予定日の15日前までに変更内容の届出が必要です(軽微な変更は除く)。
工事完了時または工事の取りやめ時にも、速やかに届出を提出する必要があります。
CASBEE広島の届出先・連絡先
CASBEE広島の届出先・連絡先は、以下の通りです。
| 届出先 | 広島市役所 都市整備局 指導部 建築指導課 | 
| 住所 | 〒730−8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号 6階 | 
| 電話番号 | 082-504-2288 | 
CASBEE広島の評価の仕組み
CASBEE広島ではどのように評価が決定されているのか、以下で詳しく解説します。
CASBEE広島の評価ランク
CASBEE広島では、建築物の敷地境界の内部と外部に分けて評価を行います。
- 境界内部の建築物の環境品質に関する要素(Q:Quality)
 - 境界を越えて外部に与える環境負荷に関する要素(L:Load)
 
QとLの評価分野は、以下のようにそれぞれ3つに分類されています。
環境品質(Q)
- Q1:室内環境
 - Q2:サービス性能
 - Q3:室外環境(敷地内)
 
環境負荷(L)
- LR1:エネルギー
 - LR2:資源・マテリアル
 - LR3:敷地外環境
 
CASBEE広島では、QとLの2つの評価軸を統合した建築物の環境性能効率(BEE)という数値を用いて、建築物の環境性能を評価します。
BEEは、環境の品質・性能(Q)が高く外部への環境負荷(L)が低いほど値が大きくなり、BEE値が大きいほど環境に配慮した建築物であることを示しています。
BEE値による環境性能のランク付けは、以下のとおりです。
| ランク | 評価 | BEE値ほか | ランク表示 | 
| S | Excellent 素晴らしい | BEE=3.0以上、かつQ=50以上 | ★★★★★ | 
| A | Very Good 大変良い | BEE=1.5以上3.0未満 | ★★★★ | 
| B+ | Good 良い | BEEH=1.0以上1.5未満 | ★★★ | 
| B− | Fairy Poor やや劣る | BEEH=0.5以上1.0未満 | ★★ | 
| C | Poor 劣る | BEEH=0.5未満 | ★ | 
B+以上が基準とされているため、B+以上のランクの取得を目指しましょう。
CASBEE広島で独自に追加された重点項目
CASBEE広島では、地域特性を踏まえたうえで以下の3点を重点項目と設定しています。
- 「地球温暖化対策」の推進
 - 「ヒートアイランド対策」の推進
 - 「長寿命化対策」の推進
 
具体的にどのような点を評価するのか、確認していきましょう。
「地球温暖化対策」の推進
「地球温暖化対策」の推進では、6つの配慮項目に分けて評価をします。
配慮項目はそれぞれ1〜5点の5段階で評価されます。
3点を上回る得点で評価した項目については、具体的にどのような配慮を行ったのかという「配慮事項」の記載が必要です。
以下が6つの配慮項目とそれぞれの記載例です。
| 配慮項目 | 配慮事項の記載例 | 
| 建物の熱負荷抑制 | 断熱性能の高い外壁・屋根を採用する | 
| 自然エネルギーの利用 | 太陽光発電を利用する | 
| 設備システムの高効率化 | ガス給湯器・照明器具は高効率タイプを採用する | 
| 設備システムの効率的運用 | 空調・照明設備は集中管理を行う | 
| 資源・マテリアル対策 | 省水型機器を使用する | 
| ライフサイクルCO2排出率 | 可能な限りCO2排出を削減する | 
「ヒートアイランド対策」の推進
「ヒートアイランド対策」の推進では、以下の2つの配慮項目が定められています。
| 配慮項目 | 配慮事項の記載例 | 
| 温熱環境の向上 | 外構の緑化、屋上緑化により適切な量の緑地を確保する | 
| 交通負荷抑制 | 可能な限り駐車スペースを確保する 敷地への出入口を3ヵ所設け、周辺道路の渋滞緩和に配慮する  | 
「長寿命化対策」の推進
「長寿命化対策」の推進は、以下の2つの配慮項目に分けて評価をします。
| 配慮項目 | 配慮事項の記載例 | 
| 耐用性の向上 | 内装仕上げ材は、耐久性がありメンテナンスが容易な材料を採用する 給排水管は、耐用年数の長い材料を採用する  | 
| 設備の更新性 | 可能な限り構造部材を痛めることなく設備の修繕・更新を行う | 
CASBEE広島の評価結果表示シート
CASBEE広島は、表計算ソフトに必要事項を入力すると「評価結果表示シート」が作成される仕組みとなっています。
以下のシートのように、評価結果表示シートにはBEE値(建築物の環境効率)だけでなく、重点項目のスコアも記載されます。

出典:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBEC)
CASBEE広島の評価マニュアル・評価ソフト・届出様式はこちらから
CASBEE広島の評価マニュアル・評価ソフト・届出様式は、以下から閲覧およびダウンロードが可能です。
| 評価マニュアル | https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/140/452.html | 
| 評価ソフト | https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/140/450.html | 
| 届出書 | https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/140/453.html | 
評価マニュアルには「2014年版」と「2016年版」の2種類がありますが、どちらもページ数は200ページ以上に及びます。
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