「このプランは本当に長期優良住宅の認定基準を満たしているのか」「耐震等級3、断熱等級6といった数値を、施主にどう説明すればよいのか」「2025年4月の法改正を踏まえ、最新基準でチェックできているのか」
設計者・施工会社・デベロッパーにとって、長期優良住宅の仕様を感覚ではなく数値と根拠で説明できるかどうかは、提案の信頼性を左右する重要なポイントです。
本記事では、2026年最新の認定基準をもとに、長期優良住宅の8つの仕様要件を等級・数値ベースで整理し、設計・見積・施主説明にそのまま使える形で解説します。実務の現場で「判断に迷わない」「説明に困らない」ための実践的な指針としてご活用ください。
長期優良住宅とは?2026年時点での制度概要
長期優良住宅の定義
長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。
国土交通省が定めた厳しい基準をクリアし、所管行政庁の認定を受けた住宅のみが「長期優良住宅」と名乗ることができます。
制度の目的と背景
従来の日本の住宅
- 平均寿命:約30年
- 「建てては壊す」フロー消費型
長期優良住宅が目指す姿
- 目標寿命:75〜100年以上
- 「長く大切に使う」ストック活用型
日本政府は2050年カーボンニュートラル実現に向けて、住宅の長寿命化と省エネ性能向上を推進しており、長期優良住宅はその中核的な制度です。
2025年4月法改正の重要ポイント
令和7年(2025年)4月1日の施行により、長期優良住宅の認定基準(特に省エネ等)が見直されました。実務で重要なのは、どの基準が適用されるかは「申請日」で判断される点です。案件ごとに申請スケジュールを先に確定し、そこから逆算して仕様・根拠資料を揃えることで、審査・現場の手戻りを防げます。
主な変更点
- 省エネ性能の強化:旧基準:断熱等性能等級4、新基準:断熱等性能等級5 + 一次エネルギー消費量等級6
- 耐震性(壁量基準等の見直しに伴う整理)
令和7年(2025年)4月1日施行の関係改正では、建築基準法令の改正に伴う壁量基準等の見直しと整合させる形で、長期優良住宅の耐震性の整理が見直されています。実務では「どの計算ルート(許容応力度計算/性能表示計算/壁量等)で適合を示すか」により、求められる根拠資料や確認観点が変わるため、申請前に評価機関・所管行政庁の運用も含めてルートを先に固定することが重要です。
長期優良住宅の8つの認定基準(仕様要件)
長期優良住宅として認定されるには、以下の8つの基準すべてを満たす必要があります(戸建住宅の場合。共同住宅は追加基準あり)。
基準一覧表
| 基準項目 | 主な要件 | 住宅性能表示と関連 |
| 1. 劣化対策 | 劣化対策等級3 + 追加措置 | 劣化対策等級 |
| 2. 耐震性 | 耐震等級2以上(構造計算の場合)または耐震等級3(壁量計算の場合) | 耐震等級(倒壊等防止) |
| 3. 維持管理・更新の容易性 | 維持管理対策等級3 | 維持管理対策等級 |
| 4. 省エネルギー性 | 断熱等性能等級5 + 一次エネルギー消費量等級6 | 断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級 |
| 5. 居住環境 | 地区計画・景観計画等への適合 | – |
| 6. 住戸面積 | 75㎡以上(地域により55㎡以上) | – |
| 7. 維持保全計画 | 30年以上の計画策定 | – |
| 8. 災害配慮 | 災害リスクが高い区域での追加配慮 | – |
以下、各基準を詳しく解説します。
基準1:劣化対策(構造躯体の耐久性)
要件の概要
求められる性能:数世代(75〜90年程度)にわたり、構造躯体が使用できること
具体的な基準
- 劣化対策等級3を満たすこと
- さらに、以下の追加措置を講じること
構造種別ごとの追加措置
木造住宅の場合
必須措置
- 床下空間の確保:床下空間の有効高さ:330mm以上。目的:床下の点検・補修作業が可能
- 床下点検口の設置:床下に人が入って点検できる開口部を設置。位置:外周部または1階床面
- 小屋裏点検口の設置:小屋裏(屋根裏)に点検口を設置。目的:小屋組みの点検
- 防腐・防蟻処理:土台・柱(地面から1m以内)に防腐・防蟻処理、または耐久性の高い樹種(ヒバ、ヒノキ等)を使用
RC造・鉄骨造の場合
必須措置
- かぶり厚さの確保(鉄筋を保護するコンクリートの厚さ)
- 水セメント比の規定
- 鉄骨の防錆処理
劣化対策等級3の具体的な仕様例(木造)
| 部位 | 仕様 |
| 基礎 | ベタ基礎または布基礎(鉄筋コンクリート造) |
| 土台 | 防腐・防蟻処理済み材料(K3相当以上) |
| 柱(地面から1m以内) | 防腐・防蟻処理済み材料 |
| 床下換気 | 有効な床下換気措置 |
| 床下防湿 | 防湿フィルム(厚さ0.1mm以上)敷設 |
基準2:耐震性(地震への強さ)
要件の概要
求められる性能:数百年に一度発生する大地震でも、少しの補修で住み続けられる損傷レベルに留めること
2025年4月以降の耐震基準【重要】
令和7年(2025年)4月1日施行の見直しにより、長期優良住宅の耐震性の整理は、採用する計算方法(許容応力度計算/性能表示計算/壁量計算等)と申請時期の影響を強く受けるようになりました。
実務では「耐震等級を何で証明するか(計算ルート)」を最初に決め、そのルートで必要な等級・根拠図書を揃えることがポイントです。壁量計算を用いる場合の取り扱いは制度改定と連動しやすいため、案件ごとに評価機関・所管行政庁の最新運用で事前確認してください。
耐震の扱いは 「計算ルート」と「申請日」 で決まります。まず どの方法で耐震等級を証明するか(許容応力度計算/性能表示計算/壁量計算 等)を決め、そのルートで必要等級と根拠図書を揃えるのが最短です。
また、長期優良住宅の基準適用は“申請日”で切り替わる ため、案件ごとに申請スケジュールを先に確定してください。
2025年4月1日以降の整理では、国交省資料で 「壁量計算により耐震性を確認する場合も、求める耐震等級は2以上(暫定措置は廃止)」 と示されています。
なお、告示改正等に伴う経過措置の有無・期間や、評価機関/所管行政庁の運用は案件条件で変わり得るため、申請前に評価機関・所管行政庁へ事前確認 する運用にすると安全です。
耐震等級とは
| 耐震等級 | 性能 | 建築基準法との比較 |
| 耐震等級1 | 建築基準法レベル | 100%(基準法レベル) |
| 耐震等級2 | 等級1の1.25倍の耐震性 | 125%(1.25倍) |
| 耐震等級3 | 等級1の1.5倍の耐震性 | 150%(1.5倍) |
※地震保険の割引は、耐震等級に応じて設定されますが、適用条件や割引率の扱いは保険商品・加入条件で異なる場合があります。施主提案では「等級が上がるほど割引や評価面で有利になりやすい」ことを示しつつ、最終的な適用可否・割引率は加入時に確認する運用にすると確実です。
実務のポイント
2025年4月以降は、適合の示し方(計算ルート)を前提にしたうえで、提案グレードとして耐震等級3相当を目標に置くと、施主説明がブレにくくなります。
理由として地震保険の耐震等級割引は、等級に応じて10%・30%・50%(等級3が最大50%)と整理されています 。また「安全性」だけでなく、「保険・資産価値・将来説明のしやすさ」まで含めた意思決定ができます。
※割引適用の可否・必要書類は契約条件で変わるため、最終確認は保険会社・代理店で行う運用にすると確実です。
基準3:維持管理・更新の容易性
要件の概要
求められる性能:給排水管・ガス管等の維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行えること
具体的な基準
- 維持管理対策等級3(最高等級)を満たすこと
維持管理対策等級3の具体的な仕様
給排水管・ガス管の更新対策
| 項目 | 要件 |
| 配管の構造 | コンクリート埋設を避ける |
| 点検口の設置 | 主要な接続部に点検口を設置 |
| 清掃口の設置 | 排水管に清掃口を設置 |
| 更新の容易性 | 構造躯体を傷めずに配管更新が可能 |
専用配管の設置(共同住宅の場合)
共用配管と専用配管を明確に分離し、専用配管のみで各住戸内の設備更新が完結できること。
実務のポイント
設計段階での注意
- 配管をコンクリートに埋め込まない
- 床下点検口・天井点検口を適切な位置に設置
- 将来の配管更新を想定した配管経路の確保
基準4:省エネルギー性【2025年4月強化】
要件の概要(2025年4月以降)
求められる性能
- 断熱等性能等級5を満たすこと
- かつ一次エネルギー消費量等級6を満たすこと
断熱等性能等級5の基準値
断熱等性能等級5は、外皮性能(UA値・ηAC値)で評価されます。
UA値(外皮平均熱貫流率)の基準

| 地域区分 | 代表地域 | UA値基準 |
| 1・2地域 | 北海道 | 0.40以下 |
| 3地域 | 青森、岩手、秋田 | 0.50以下 |
| 4・5地域 | 東北、関東、中部 | 0.60以下 |
| 6・7地域 | 近畿、中国、四国、九州 | 0.60以下 |
UA値とは、建物全体からどれだけ熱が逃げやすいかを示す数値で数値が小さいほど断熱性能が高いです。代表例として、国交省資料では 6地域で UA≦0.60 が示されています(評価は地域区分・評価ルートで変わるため、最終判断は最新の公式表で確認)。
ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の基準
夏の日射熱の入りやすさを示す指標。地域区分ごとに基準値が設定されています。
一次エネルギー消費量等級6の基準
基準
- 設計一次エネルギー消費量 ≦ 基準一次エネルギー消費量 × 0.8
- つまり、基準値から20%以上削減
評価対象設備
- 暖房設備
- 冷房設備
- 換気設備
- 給湯設備
- 照明設備
省エネ等級の全体像
| 等級 | 性能レベル | 長期優良住宅 |
| 等級4 | 2025年4月義務化レベル | 旧基準(〜2024年3月) |
| 等級5 | ZEH水準の断熱性能 | 新基準(2025年4月〜) |
| 等級6 | HEAT20 G2相当 | – |
| 等級7 | HEAT20 G3相当 | – |
実務のポイント
施主への説明例:「長期優良住宅は近年の基準見直しにより、(新築認定の原則として)省エネ性能の確認がより重要になっています。断熱・一次エネの根拠を数値で示すことで、冬の快適性や光熱費の見通しまで含めて、納得感のある提案ができます。」
基準5:居住環境への配慮
要件の概要
求められる性能:良好な景観の形成や、その他の地域における居住環境の維持・向上に配慮されていること
具体的な審査内容
各自治体(所管行政庁)が定める以下の計画等に適合しているかを審査します。
主な審査対象
- 地区計画
- 景観計画
- 建築協定
- 街並み誘導型地区計画
実務のポイント
申請前の確認事項として以下が挙げられます。
✓ 計画地が地区計画等の区域内か確認
✓ 区域内の場合、外観・高さ・色彩等の制限を確認
✓ 所管行政庁へ事前相談
居住環境に関する基準は、計画地の区域指定や自治体ごとの運用に大きく左右されます。地区計画・景観計画・建築協定などの指定がある場合は、外観・高さ・色彩・配置計画が審査対象となるため、設計初期段階で該当する制限を必ず整理することが重要です。
また、同じ用途地域であっても、所管行政庁によって判断基準や求められる資料が異なるケースがあります。認定審査を円滑に進めるためにも、必要に応じて事前協議や事前相談を行い、行政の運用を確認したうえで計画を確定させることが、実務上のリスク低減につながります。
基準6:住戸面積
要件の概要
求められる性能:良好な居住水準を確保するため、一定以上の住戸面積を有すること
面積基準
原則
- 戸建住宅:75㎡以上(階段部分を除く)
特例(地域の実情による緩和)
- 三大都市圏など:55㎡以上に緩和可能
- 自治体の判断により設定
実務のポイント
面積計算の注意点
- 階段部分は除外して計算
- 吹き抜け部分も面積に含まれない
- ロフト・小屋裏収納は原則含まれない(階数・用途による)
計画地の基準確認:所管行政庁のホームページまたは事前相談で、適用される面積基準を確認してください。
基準7:維持保全計画
要件の概要
求められる性能:建築後の住宅維持保全の期間・方法を定め、計画的な点検・補修を行うこと
計画の内容
計画期間
- 30年以上の維持保全計画を策定
点検の実施
- 点検間隔:10年以内ごと
- 対象部位:構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁等)。雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁等)。給排水設備
記録の保存
- 点検・補修の記録を作成・保存
- 保存期間:30年以上
維持保全計画の標準スケジュール例
| 経過年数 | 点検内容 | 主な点検部位 |
| 5年目 | 定期点検 | 外壁、屋根、給排水設備 |
| 10年目 | 定期点検+必要に応じて補修 | 構造躯体、外壁、屋根、給排水 |
| 15年目 | 定期点検 | 外壁、屋根、給排水設備 |
| 20年目 | 定期点検+大規模補修検討 | 構造躯体、外壁、屋根、給排水 |
| 30年目 | 定期点検+大規模補修 | 全体 |
実務のポイント
維持保全計画の作成サポート
- 多くの評価機関・工務店が標準テンプレートを提供
- 国土交通省の標準様式を活用可能
施主への説明のポイント :「定期的な点検により、不具合を早期発見し、大きな修繕費用を抑えられます。また、点検記録は将来の売却時に資産価値の証明となります」
基準8:災害配慮
要件の概要
災害リスクが特に高い区域(例:土砂災害特別警戒区域等)は、原則として認定対象外となる取扱いが基本です。浸水想定区域など「一律に居住を避けるべきとまではいえない区域」は、所管行政庁が地域実情に応じて追加措置を求める運用となるため、計画地の審査基準を必ず事前確認してください。
実務のポイント
ハザードマップの確認
- 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で確認
- 自治体発行のハザードマップも参照
対策例
土砂災害特別警戒区域等(いわゆるレッドゾーン級):原則として認定対象外が基本。まずは区域指定の有無を確認し、計画地選定(区域外)でリスクを潰すのが実務の最適解となります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 工務店から「耐震等級2で長期優良住宅の認定は取れる」と言われましたが、耐震等級3との違いは何ですか?
A.長期優良住宅の耐震要件は、採用する評価ルート(性能表示の耐震等級で示すのか、別ルートで示すのか)によって整理が変わります。実務では「どの計算方法で、どの等級を満たすか」を先に固定し、審査で求められる根拠資料を揃えるのが最短です。
なお、提案としては「認定要件を満たすか」だけでなく、安全性・資産価値・保険・将来の説明容易性まで含めて、等級3相当を推奨する判断軸も有効です(ただし費用対効果は案件ごとに変わるため、概算はプロジェクト条件に合わせて提示します)。
Q2. 断熱等級5と等級6・7の違いは何ですか?より高い等級にすべきでしょうか?
A.断熱等性能等級の違いは、主にUA値(外皮平均熱貫流率)の基準値の差です。
断熱等級と UA値の関係(6地域の例)
- 等級4:UA値 0.87以下
- 等級5:UA値 0.60以下(※6地域の代表例。実際の基準値・指標は地域区分と評価ルートで異なるため、最新の公式表で確認)
- 等級6:UA値 0.46以下(HEAT20 G2相当)
- 等級7:UA値 0.26以下(HEAT20 G3相当)
等級6・7のメリット
- さらに高い快適性(冬暖かく、夏涼しい)
- 光熱費のさらなる削減
- 補助金の優遇(一部事業)
等級6・7のデメリット
- 建築コスト増(等級5比で+100万円〜200万円)
- 長期優良住宅の要件は等級5で満たせる
推奨する選択
- 予算に余裕があり、快適性を最優先:等級6以上
- コストバランス重視:等級5(長期優良住宅の基準)
Q3. 床下空間330mm以上は絶対に必要ですか?基礎パッキン工法でもダメですか?
A.床下の点検性・補修性を確保する観点から、木造の長期優良住宅では、床下空間や点検口などの措置が求められます。ただし、対象(新築/増改築/構造種別)や採用する仕様・審査運用により取り扱いが変わる場合があります。
基礎パッキン工法は「換気を確保する工法」であり、床下の点検性確保とは目的が異なるため、点検・補修が可能な仕様として成立しているかを図書で説明できる形に整えるのが実務上のポイントです。
Q4. 共同住宅(マンション)の長期優良住宅は、戸建住宅と基準が違いますか?
A.はい、共同住宅には追加の基準があります。
戸建住宅の基準(8項目)
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新の容易性
- 省エネルギー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
- 災害配慮
共同住宅の追加基準(+2項目)
- 可変性:将来の間取り変更の容易性
- バリアフリー性:共用廊下の段差解消、エレベーター設置等
住戸面積の基準も異なる
- 戸建住宅:75㎡以上(55㎡以上に緩和可)
- 共同住宅:40㎡以上(少なくとも1つの階の床面積が40㎡以上)
Q5. 長期優良住宅の認定を受けた後、計画を変更できますか?
A.認定後の計画変更は可能ですが、変更の内容により手続きが異なります。
軽微な変更(届出のみ)
- 建築主の変更
- 設計者・施工者の変更
- 建物の名称・所在地の変更
- 認定基準に影響しない変更
重要な変更(変更認定申請が必要)
- 構造・間取りの変更
- 耐震性能・省エネ性能に影響する仕様変更
- 住戸面積の変更
変更認定申請の流れ
- 変更内容の確認
- 所管行政庁へ変更認定申請
- 審査・変更認定
- 変更認定通知書の交付
注意点:変更後の仕様が長期優良住宅の基準を満たさない場合、認定が取り消される可能性があります。変更前に必ず所管行政庁へ相談してください。
Q6. 長期優良住宅の維持保全計画を怠った場合、どうなりますか?
A.維持保全計画に従った点検・補修を怠ると、認定が取り消される可能性があります。
認定取消しのリスク
維持保全計画の不履行が続き、所管行政庁の指導等に応じない場合は、認定が取り消される可能性があります。
その結果として、住宅ローン減税や固定資産税等の優遇についても、優遇適用の前提要件を欠く場合に影響が生じ得るため、具体の扱いは制度要件とあわせて所管・税務(税理士等)で確認する運用が安全です。
認定取り消しの影響
- 住宅ローン減税の適用取り消し
- 固定資産税軽減の適用取り消し
- 既に受けた減税分の返還を求められる可能性
現実的な運用
実際には、所管行政庁が全ての長期優良住宅を定期的に監視することは困難です。ただし、売却時や相続時に点検記録の提出を求められる場合があるため、記録の保存は重要です。
推奨する対応
- 10年ごとの定期点検を実施
- 点検結果と補修内容を記録・保存
- 記録は30年以上保管
まとめ:長期優良住宅は「認定が取れる」ではなく「根拠をもって提案・判断できる」かが勝負
長期優良住宅は、8つの認定基準を満たせばよいというだけではなく、その要件を等級や数値、申請時期まで含めて正確に整理し、根拠をもって説明できるかどうかが実務上の大きなポイントです。近年は基準の見直しが進み、従来のような曖昧な理解では対応しにくくなっており、耐震性・断熱性・一次エネルギー消費量についても、等級や性能値に落とし込んで確認する姿勢が欠かせません。
特に注意したいのが、申請日によって適用される基準が切り替わる点です。令和7年(2025年)4月1日以降は改正後基準が適用されるため、設計段階で想定していた仕様と申請時点の基準にズレがあると、手戻りや再調整が発生するおそれがあります。長期優良住宅では、性能そのものだけでなく、いつの基準で申請する案件なのかを早い段階で整理し、その前提で仕様を固めることが重要です。
また、施主への提案では「大丈夫です」「基準は満たせます」と言い切るだけでは十分ではありません。どの基準を、どの性能で、どこまで満たしているのかを見える化し、認定に必要な条件を整理して示すことで、施主の納得感や安心感は大きく高まります。維持保全計画についても、抽象的に説明するのではなく、点検や更新の見通しまで含めて伝えることで、長期的な住まいの価値を具体的にイメージしてもらいやすくなります。
長期優良住宅の仕様は、単なる認定取得のための条件ではなく、住宅の性能と資産価値を長期にわたって支えるための設計・施工上の共通基準です。8つの基準を正しく理解し、等級・数値・申請タイミングまで含めて根拠を揃えたうえで提案できるかどうかが、これからの実務ではより重要になるでしょう。
省エネ計算をはじめ、省エネ適判や住宅性能評価など、手間のかかる業務は外注し、自社のリソースをコア業務に集中させれば、円滑な計画進行が期待できるのではないでしょうか。
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