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【2026年最新】一次エネルギー消費量等級とは?断熱等性能等級やBELSとの違いも解説

2025年4月より、すべての新築建築物に対する省エネ基準適合が義務化されました。さらに2026年4月には中規模非住宅建築物の基準も引き上げられるなど、建築物の省エネ性能を取り巻く制度は年々強化されています。建築物の省エネ性能を調べるなかで、「一次エネルギー消費量等級」という用語に悩まされてはいないでしょうか。

今回は、一次エネルギー消費量等級を詳しく解説します。断熱等性能等級やBELSとの違いもまとめました。一次エネルギー消費量等級や省エネ性能に関して、正しく理解するために活用してください。

 

一次エネルギー消費量等級とは何か

一次エネルギー消費量等級は、建築物に対する省エネ基準の1つです。2013年に設置されました。一次エネルギー消費量等級の考え方と、具体的な等級を解説します。

一次エネルギー消費量等級の考え方

一次エネルギー消費量等級は、建築物が1年で消費するエネルギー消費性能を数値化した指標です。等級の判定には「設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量」で算出される基準比の指標「BEI(Building Energy Index)」が用いられます。

設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計から想定される使用エネルギー量です。空調や換気、照明、給湯設備などから算出します。基準一次エネルギー消費量は、地域や建物用途、室使用条件などによって定められる基準値です。

なお、住宅の省エネ計算方法は、2025年4月の法改正により「標準計算ルート」と「仕様ルート」の2つに集約されました。標準計算ルートは部位ごとの外皮面積・性能値等を用いて詳細に算出する方法で、BELS申請にも対応しています。

仕様ルートは簡便な計算方法ですが、設備仕様の適用範囲が限られます。一次エネルギー消費量等級の取得を目指す場合は、標準計算ルートの活用が推奨されます。

一次エネルギー消費量等級は3〜8等級(2025年12月に等級7・8を新設)

一次エネルギー消費量等級の数値が大きいほど、エネルギー消費量が少なく、省エネ性能が高い建築物であることを示します。建築物はBEIの値によって、3〜8の等級に分けられています。

一次エネルギー消費量等級8・7とは【2025年12月新設】

2025年12月1日、住宅性能表示制度の改正により、一次エネルギー消費量等級に上位の等級7(BEI0.70以下)と等級8(BEI0.65以下)が新設されました。現在の最高等級は等級8です。

背景には等級6(ZEH水準)の急速な普及があり、国土交通省の審議資料によれば、等級6を取得する戸建住宅の割合は令和4年度の約49%から令和5年度には約86%へと増加し、最高等級が短期間で多数派になりました。

BEIは太陽光発電などの再生可能エネルギーによる削減分を含めずに算出されるため、等級7・8は創エネに頼らず、断熱と設備の実力で達成する必要があります。国は遅くとも2030年度までに新築住宅の省エネ基準をZEH水準へ引き上げる方針を示しており、今の上位等級が将来の標準になる流れを見据えた基準といえます。

一次エネルギー消費量等級6とは

一次エネルギー消費量等級6は、2022年4月の法改正で新設され、長らく最高等級でしたが、2025年12月に上位の等級7・8が新設され、現在の最高等級は等級8です。

等級6のBEIは0.8以下。再生可能エネルギーなどを除いた一次エネルギー消費量が、基準一次エネルギー消費量に対して20%以上削減できていることを示します。

一次エネルギー消費量等級5とは

一次エネルギー消費量等級5は、2022年4月に等級6が新設されるまで最高等級に位置づけられていた区分です(かつては認定低炭素住宅の基準にも使われていましたが、現在の認定低炭素住宅は等級6以上が必須となっています)。 省エネ基準である等級4と比べ、一次エネルギー消費量が10%以上削減されると等級5となります。BEIは0.9以下です。

一次エネルギー消費量等級4とは

現在、国が定める省エネ住宅の基準となる等級です。2025年4月以降、一次エネルギー消費量等級4以上が義務化されています。BEIは1.0以下です。

なお、非住宅建築物においても省エネ基準適合が義務化されており、2026年4月からは中規模非住宅建築物(床面積300㎡以上2,000㎡未満)のBEI基準が、大規模建築物と同等水準に引き上げられました。用途に応じてBEI=0.75〜0.85が求められるため、設計段階から一次エネルギー消費量を意識した計画が不可欠です。

一次エネルギー消費量等級3とは

一次エネルギー消費量等級3は、国が定める省エネ住宅の基準を下回ってしまいます。新築住宅には適用できない等級で、既存住宅のみが対象です。BEIは1.1以下です。

 

もう1つの省エネ基準「断熱等性能等級」とは

一次エネルギー消費量等級を調べていると、しばしば「断熱等性能等級」という文言を目にするのではないでしょうか。似た用語である断熱等性能等級は、住宅の断熱性を評価する基準です。

断熱等性能等級は7等級

断熱等性能等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められる基準です。等級1〜等級7に分かれており、数値が大きいほど高い断熱性能を持つことを示します。

※参照:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省

断熱等性能等級の考え方

※参照:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省

断熱等性能等級は、建築物のUA値(外皮平均熱貫流率)によって決まります。UA値は、建築物からの熱の逃げにくさを示す指標です。熱の逃げにくさは地域性(気候・気温など)にも影響されるため、全国を8つに区分けして基準値が設定されています。

UA値から導かれる断熱等性能等級は、そもそもの着目点が、一次エネルギー消費量等級と異なる点を押さえましょう。

なお、制度の要件は、この2つの等級の組み合わせで定義されることが多い点も重要です。たとえばZEH水準は、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6の両方を満たす水準を指し、片方だけ高くても要件は満たせません。提案書や評価書を確認するときは、必ず2つの等級をセットで見るようにしましょう。

断熱等性能等級は、2022年までは等級4が最高でした。新たに等級5〜7が設置され、2025年4月以降に新築される建築物には、等級4以上が義務化されています。

 

省エネ規準でよく登場する「BELS」とは

建築物の省エネ基準に関しては、「BELS」という用語も登場します。BELSとは何か、また一次エネルギー消費量等級との関連を解説します。

BELSとは

BELSは「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称で、建築物の省エネ性能を表します。日本独自の評価・表示制度で、2014年に運用が始まりました。

BELSは、第三者評価機関によって建築物の省エネルギー性能、つまりエネルギー消費性能や断熱性能が評価されます。評価の結果は「★」の数で示され、一般消費者にも省エネ性能が伝わりやすいよう工夫されています。

※参照:事業者向けガイドライン概要版資料|国土交通省

※参照:省エネ性能ラベル(第三者評価)見本|一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

 

一次エネルギー消費量等級の高い建築物を建てるメリット

一次エネルギー消費量等級が高い建築物には、高効率な設備が必要となり、建築コストもかさみます。一方で、一次エネルギー消費量等級の高い建築物を建てるメリットもあります。

補助金を受けられる場合がある

建築物の省エネ化は、目下、国が主導し積極的に推進する施策です。省エネ性能の高い建築物を普及させるため、国もさまざまな支援を用意しています。

非住宅建築物が対象の支援例

非住宅に向けた支援の例として、2つ紹介します。

「住宅・建築物省エネ改修推進事業」は、既存建築物の省エネ化を促進する支援です。

既存建築物を省エネ基準適合、もしくはZEBレベルに省エネ改修すると補助金が受けられます。省エネ診断・省エネ設計から省エネ改修、建替えまで幅広く支援しており、建築物の脱炭素化を後押しする事業です。

なお、住宅・建築物省エネ改修推進事業は住宅の省エネ化改修にも利用可能です。

「既存建築物省エネ化推進事業」は、省エネ改修と同時にバリアフリー化する工事に対して、補助金を支給します。改修前と比較し、20%以上の省エネ効果が見込まれる場合が対象です。

◎補助内容

  • 補助率:3分の1まで
  • 補助限度額:5,000万円/プロジェクト(バリアフリー改修を含む場合は2,500万円加算)

住宅が対象の支援例

戸建住宅を対象とした支援からは、「ZEH補助金」「みらいエコ住宅2026事業」を紹介します。

「ZEH補助金」は、ZEH基準を有する住宅の新築・購入を支援する補助金です。正式名称は「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」で、個人向けには、「ZEH支援事業」「ZEH+支援事業」などの制度があります。

令和8年度(2026年度)は、ZEH住宅の新築・購入には45万円/戸(寒冷地は55万円/戸)、より高性能なZEH+住宅の新築・購入には80万円/戸(寒冷地は90万円/戸)が交付されます。蓄電システム等の追加設備導入による加算もあります。

「みらいエコ住宅2026事業」は、省エネ性能の高い住宅の新築やリフォームを支援する制度です。「子育てグリーン住宅支援事業」(2025年度)の後継事業として創設されました。なお、2024年度の「子育てエコホーム支援事業」から名称・内容が変更されています。

新築住宅の補助金額は、住宅の省エネ性能区分に応じて以下のように設定されています。

  • GX志向型住宅(全世帯対象):110万円/戸(寒冷地等は125万円/戸)
  • 長期優良住宅(子育て世帯・若者夫婦世帯対象):75万円/戸(寒冷地等は80万円/戸)
  • ZEH水準住宅(子育て世帯・若者夫婦世帯対象):35万円/戸(寒冷地等は40万円/戸)

※古家の除却を行う場合は、長期優良住宅・ZEH水準住宅ともに20万円が加算されます。

GX志向型住宅は断熱等性能等級6以上が求められる高性能な住宅で、世帯条件を問わず全世帯が対象です。一方、長期優良住宅やZEH水準住宅は、子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)または若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下)が対象となります。

ランニングコストを抑えられる

エネルギー効率の高い設備の導入・使用、太陽光発電システム等による創エネなどによって、ランニングコストを抑えられる点もメリットです。

国土交通省の試算によると、省エネ住宅では年間数万円単位で光熱費を節約できると言われています。

  • 北海道札幌市:96,000円~107,000円節約
  • 東京都23区:46,000円~53,000円節約

※ 参照:省エネ住宅で節約できる年間の光熱費|国土交通省

住宅設備事業者・LIXILが提供する、建築物の省エネ計算をシミュレーションできるツールも、チェックしてみてください。

フラット35Sの金利優遇を受けられる

一次エネルギー消費量等級6以上は、住宅ローンの金利優遇の分岐点でもあります。全期間固定金利ローン「フラット35」の金利引下げメニューであるフラット35S(金利Aプラン)の省エネルギー性の技術基準は、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6が要件です(長期優良住宅と同水準)。より緩やかな金利Bプランでも断熱等性能等級4以上などが必要です。等級6を確保しておくと、補助金と金利優遇の両方に手が届きやすくなります。

 

一次エネルギー消費量等級6を取得する設計のポイント

手掛ける建築物が、ZEH水準や各種税制優遇・金利優遇の要件となる「一次エネルギー消費量等級6」を取得できるかどうかは、設計にかかっています。ここでは実務上の重要な基準となる等級6を取得するポイントを解説します。

建築物の断熱性能を高める

最優先事項は、建築物全体の断熱性能を上げることです。他の性能が優れていても、断熱性が低ければ、室内の熱はどんどん逃げてしまいます。

断熱等性能等級が最低でも5以上になるように設計しましょう。断熱性の高い工法や断熱材を採用する、樹脂トリプルガラスなどの高性能サッシを採用するといった設計が有効です。

このように、一次エネルギー消費量等級の向上には、建物の外壁や窓の性能を示す「断熱等性能等級」が大きく関わってきます。

建物の価値を最大化するためには、一次エネルギー消費量等級の向上が不可欠ですが、そのためには建設費用も増えるため、活用できる補助金制度を利用することも重要です。2026年度も、国は省エネ性能の高い新築住宅に対して手厚い補助金制度を用意しています。

設計の自由度だけでなく、コスト面でのメリットも追求するために、2026年度に利用できる最新の新築補助金制度の詳しい内容については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

✔あわせて読みたい

高効率なエネルギー設備を導入する

建築物の省エネ性能を高めるためには、「エネルギーの使用量を減らす」と同時に、効率良くエネルギーを使う考え方も大切です。

照明はすべてLED化する、エコキュートやエコジョーズなどの高性能な給湯器を選ぶといった設計も効果的です。

 

目指す等級の決め方と、住宅会社への確認方法

2026年時点の新築では、最低でも等級6、予算が許せば等級7が一つの目安です。判断軸は、

  1. 補助金・金利優遇の対象範囲(等級6が分岐点)
  2. 追加コストと光熱費削減の回収バランス
  3. 将来の資産価値(等級6が多数派となり、上位等級が将来の標準になる流れ)の3つです。

目指す等級が決まったら、それを客観的に証明する書類まで確認します。等級は、品確法に基づく住宅性能評価書(「温熱環境・エネルギー消費量」の欄に記載)またはBELS評価書(BEIと星マークで表示)で証明されます。「等級6相当」という口頭説明と、評価書で「等級6を取得」していることはまったく別物です。補助金申請では証明書類の有無が可否を分けるため、書類の確認までをゴールにしてください。

住宅会社との打ち合わせでそのまま使える確認事項をまとめました。

  • 現在のプランのBEIの値と、一次エネルギー消費量等級・断熱等性能等級を教えてください
  • その等級は、住宅性能評価書とBELSのどちらで、いつ証明されますか
  • みらいエコ住宅2026事業などの補助金について、事業者登録と申請代行は可能ですか
  • 等級を1つ上げる場合、どの仕様がどう変わり、差額はいくらですか
  • フラット35Sの金利Aプランの要件を満たしますか

 

一次エネルギー消費量等級でよくある質問

Q. BEIは自分で計算できますか

BEIは、国立研究開発法人建築研究所が公開するWEBプログラムで計算する仕組みですが、外皮性能や設備仕様の詳細な入力が必要なため、実務では設計者や住宅会社が代行します。施主が自力で計算する必要はなく、「計算結果(BEIの値)と等級を教えてください」と依頼すれば十分です。

Q. BELSの星の数と等級はどう対応しますか

BELSもBEIに基づいて評価されるため、等級と連動します。おおむね等級4がBEI1.0以下、等級6がBEI0.8以下の水準に対応し、近年はさらに上位の区分も設けられています。物件資料や広告で星を見たら、BEIの数値もあわせて確認しましょう。

Q. 等級を上げるには具体的に何を変えればいいですか

近道は設備の効率化です。高効率給湯器(エコキュート等)、高効率エアコン、LED照明、熱交換型換気などが代表例で、そのうえで窓・断熱材の強化を検討する順番が費用対効果に優れます。どの組み合わせが最適かは、住宅会社にBEIの試算を依頼して比較してください。

Q. 中古住宅やマンションでも等級は確認できますか

確認できます。新築時に取得した住宅性能評価書やBELS評価書があれば、その記載で確認可能です。書類がない場合も、既存住宅として評価を受け直す方法があります。なお中古の評価では、等級3が使われることもあります。

Q. 等級が高い家は建築費がどれくらい上がりますか

仕様や地域で幅がありますが、等級6から7へ上げる場合、設備と外皮の強化で数十万円から百万円超の差になることが一般的です。ただし補助金・金利優遇・光熱費削減で相殺できる部分も大きいため、「差額見積もり」と「回収年数」をセットで住宅会社に依頼するのが賢い進め方です。

 

まとめ

一次エネルギー消費量等級は、建築物が1年で使うエネルギー量を数値化した指標です。建築物の省エネ性を示す基準の1つで、2025年4月以降はBEI≦1.0の等級4が義務化されています。

また、2025年12月には上位の等級7(BEI0.70以下)・等級8(BEI0.65以下)が新設され、現在の最高等級は等級8となりました。等級6(ZEH水準)は補助金や住宅ローンの金利優遇の分岐点であり、目指す性能の目安になります。

さらに2026年4月からは、中規模非住宅建築物(300㎡以上2,000㎡未満)のBEI基準が用途に応じて0.75〜0.85に引き上げられるなど、省エネ基準の強化は段階的に進んでいます。建築物の省エネ化は、待ったなしの課題です。省エネ基準への適合が義務化されたことにより、省エネ計算に追われる建築・設計会社も増えています。

この記事について
監修者

環境・省エネルギー計算センター 代表取締役 尾熨斗 啓介

連載
著書
環境性能認証不動産
コンサルティング業務

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