DBJグリーンビルディング認証のランクについてお調べですね。
近年、世界的なSDGsへの取り組みや省エネ対応の流れもあり、環境や社会に対して配慮された不動産が増えています。
環境に配慮した不動産への取り組みの中でも、特に財政面に対するメリットが豊富なのが、DBJグリーンビルディング認証です。
DBJグリーンビルディング認証を受けた不動産は、認証ランクが高いほど、今後の物件価値向上を期待することができます。
この記事では、DBJグリーンビルディング認証の5つのランクと評価基準について物件事例をもとにお伝えします。DBJグリーンビルディング認証において高ランクを獲得し、不動産価値を上げたい方はぜひ参考にしてください。
DBJグリーンビルディング認証とは?
DBJグリーンビルディング認証とは、日本政策投資銀行が環境や社会へ配慮された不動産を支援するために創設した認証制度です。DBJグリーンビルディングは、金融機関として初の環境問題に向けた認証制度になります。
DBJグリーンビルディング認証は金融機関が認証する制度であるため、環境面だけでなく財政面におけるメリットも豊富です。
具体的には、不動産の優れた取り組みを集約することでスコアリングされており、そのスコアに応じた不動産ランクが付けられることで企業のブランド価値が向上します。
また、DBJグリーンビルディング認証は社会動向を反映した評価基準を採用しているため、最新の情報をもとに物件価値を維持・向上させるコンサルティングやフィードバックを受けることが可能です。これを基に、業務の効率化や再構築を図ることができ、企業経営の健全化に繋げることができます。
DBJグリーンビルディング認証物件と非認証物件とでは、今後賃貸料や期待できる利回りに大きな差が出ることが予想されます。
DBJグリーンビルディングとは、環境への配慮と物件価値向上を意識した際に、是非とも活用したい認証制度なのです。
DBJグリーンビルディング認証の5つの評価ランク
DBJグリーンビルディング認証は、不動産に対するスコアリング設計の評価をもとに5段階で表されます。
国内トップクラスの卓越した「環境・社会への配慮」を行っている不動産に対しては、5つ星を与えており、それ以下の不動産には1〜4つの星が与えられます。
5つ星水準の物件は、認証物件の上位10%に付与されるように設定されています。星の数が多いほど、環境性・社会性が高く評価された物件です。
このように、ブランド価値が「見える化」されることで、物件価値の向上に繋がります。
評価ランクと評価基準は以下の表のようになります。
評価ランク | 特徴 |
★★★★★(5つ星) | 国内トップクラスの卓越した「環境・社会への配慮」がなされたビルであることの認証 |
★★★★(4つ星) | 極めて優れた「環境・社会への配慮」がなされたビルであることの認証 |
★★★(3つ星) | 非常に優れた「環境・社会への配慮」がなされたビルであることの認証 |
★★(2つ星) | 優れた「環境・社会への配慮」がなされたビルであることの認証 |
★(1つ星) | 十分な「環境・社会への配慮」がなされたビルであることの認証 |
5つの視点による総合評価
DBJグリーンビルディング認証は、物件の価値をESG投資に基づく5つの視点から総合評価しています。
ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している不動産や企業に対して行われている投資です。ESG評価の高い不動産は、環境性や社会性に優れており、投資家の中でも高評価を得ています。
DBJグリーンビルディング認証の総合的な評価基準として、ソフト面・ハード面を含めた以下5つの評価視点が定められています。
【5つの総合的な評価視点】
物件の環境性能 (Energy&Resources) | 省エネルギー・再生産エネルギーの利用 |
危機に対する対応力 (Amentity) | 環境リスク対応・防犯対策・防災対策 |
ステークホルダーの協働 (Community &Diversity) | オーナー・テナント間の連携・IRを通じた取り組み |
多様性・周辺環境への配慮 (Partnership) | 景観、生物多様性、地域との関わり |
テナント利用者の快適性 (Resilience) | 設備、スペック、テナント利用可能施設 |
DBJグリーンビルディングに認証された物件事例
ここまでDBJグリーンビルディング認証の評価視点について解説してきました。しかし、具体的にどのような物件であれば、どの程度の星を獲得することができるのかイメージしにくいですよね。
ここからは、これまでにDBJグリーンビルディングに認証された不動産と付与された星の数、評価ポイントについて物件事例をもとに紹介します。
物件が評価されるためには、どのような環境への配慮・工夫が必要なのか、参考にしてみてください。
有明ガーデン(5つ星)
2020年に竣工された、約200店舗を擁する大型商業施設「住友不動産ショッピングシティ有明ガーデン」は最高ランクとなる5つ星を獲得しています。
有明ガーデンが、5つ星の物件として評価されたポイントは、以下が挙げられます。
【有明ガーデンの評価ポイント】
- 建物上に壁面緑化約4,000m²を含む約8,000m²の緑化面積を確保、雨水をろ過した上でトイレ洗浄水として再生利用している点
- 延14,000人分の防災備蓄品を確保し、災害発生時に備える体制を完備している点
- 館内放送は日本語、英語、中国語で展開し、あわせて館内に祈禱室を用意している点
- 運用改善のグリーンリースにより、省エネ等の取組みを推進している点
中野セントラルパーク(5つ星)
中野セントラルパークは、中野駅前に2012年5月に竣工されたオフィスビルで、最高ランクとなる5つ星を獲得しています。
中野セントラルパークが5つ星の物件として評価されたポイントは、以下が挙げられます。
【中野セントラルパークの評価ポイント】
- ペアガラスの採用、照明のLED化、エントランスラウンジの大規模窓面による昼光利用、節水型の水栓およびトイレの設置等、省エネ・省資源に配慮している点
- 住戸内の遮音性能の確保、エントランスへのアロマの設置、EV車の充電スペースの設置等、入居者の利便性・快適性に配慮している点
- 防災用マンホールトイレの設置、共用部動線のバリアフリー化等、防災性に配慮している点
新宿センタービル(4つ星)
新宿センタービルは、新宿駅近くに1979年10月に竣工されたオフィスビルで、4つ星を獲得しています。
新宿センタービルが4つ星の物件として評価されたポイントは、以下が挙げられます。
【新宿センタービルの評価ポイント】
- 外気冷房システムの採用、建物のLED照明化、基準階共用部の人感センサーの採用、節水型便器の採用等、物件の省エネルギー性・省資源に配慮している点
- 建物内にコンビニや飲食店等利用施設の導入に加えて、会議室や無料Wi-Fiに設置がなされ、オフィス従業員の利便性に配慮している点
- エントランスロビー・EV内での音楽、入居者満足度調査の実施等により、入居者の快適性に配慮している点
横浜ファーストビル(3つ星)
横浜ファーストビルは、横浜駅近くに1988年8月に竣工されたオフィスビルで、3つ星を獲得しています。
横浜ファーストビルが3つ星の物件として評価されたポイントは、以下が挙げられます。
【横浜ファーストビルの評価ポイント】
- 全熱交換器、基準階共用部の人かんセンサーの採用、自動調光システムの設置、建物のLED照明化等によって、省エネルギーへの配慮されている点
- 廃棄物の消費抑制やリサイクルの適正化について、テナントに対して十分な取り組みを行うとともに、廃棄物のマニフェクト電子化を導入する等、環境に配慮している点
- 非常時にテナント専用部への予備電力を確保している点に加え、防災用マンホールの整備等、建物の防災性に配慮している点
シャーメゾンステージ秋葉原(2つ星)
シャーメゾンステージ秋葉原は、秋葉原駅近くに2006年10月に竣工され、2つ星を獲得しています。
シャーメゾンステージ秋葉原が2つ星の物件として評価されたポイントは、以下が挙げられます。
【シャーメゾンステージ秋葉原の評価ポイント】
- 共用部照明の LED 化、節水型水栓等により、施設の省エネルギー化に配慮している点
- 遮音性能に配慮した住戸間の壁厚、住戸内の天井高の確保等、入居者の快適性に配慮している点
物件価値を高めるために、DBJグリーンビルディング認証で高いランクを目指そう
DBJグリーンビルディング認証の物件は、今後ますます投資対象としての価値が上がることが予想されます。高ランクを取得することで多くのメリットを享受することができるため、まずは1~3つ星を目指して取り組んでみてください。
今後の物件価値向上を見据えて、今のうちからDBJグリーンビルディング認証取得に向けた取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。
DBJグリーンビルディング認証の取得方法や費用、年会費、有効期限などについて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
参考:DBJグリーンビルディング認証とは?目的や評価基準・認証メリット・今後の動向についてプロが解説【2022年最新】
